このちょっと変わったストップウォッチは、ジブリ作品『海がきこえる』のスタッフ有志が企画・開発・設計し、国内唯一のアナログストップウォッチメーカーで生産されたアニメーション専用のストップウォッチだ。
6秒で針が一周するという非常に特殊な作りで、アニメーション作業専用に考えられている。6秒で針が一周するのはアニメーションのタイムシートが6秒シートが多いからだ。短針は長針の累計だけでなくシート枚数がわかるようになっている。
また、1秒はフィルムに合わせて24コマの目盛りで区切られている。そのため針が回る角度を見て1コマ単位の時間の流れを視覚的に感じることができる。アニメーターが原画と原画の間を考えたり、演出がセリフのタイミングをチェックする際にちょうど良い。
全ての点でアニメーション向けに考えられたこのストップウォッチは、専用設計のため通常のものよりやや高価だ。(定価2万円)だが何年も愛用する人が多く、ジブリの宮崎監督も愛用者の一人だ。
企画開発したスタッフに話を聞くと、現在でも欲しがる人が後を絶たず、何度か少量づつ生産を繰り返してきたそうだ。しかし、特殊な部品が必要だったり手作業で作る部分が多いため、一回当たりに生産できる数が限られている。今まで数個から数十個単位で何回かに分けて生産されてきた。
しかし、残念ながら今後の生産は難しいらしい。
本体メカにスイスとドイツの時計メーカーのものを使用して来たが、この在庫が無くなってしまったのだ。更にこれらのメーカーが相次いで機械式ストップウォッチの製造から撤退してしまった。国内製造業者も高齢で仕事を引き継ぐ者がいない。
ただこのまま埋もれてしまうには惜しい。
新たにアニメーション業界に入った人にもこのストップウォッチの存在を知ってもらって、欲しい人に安定して供給できないものか。