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最先端のIoTアプリケーション開発を通じて、新しい社会的価値を創造できる人を育てたい。

2017年8月8日掲出

コンピュータサイエンス学部 亀田弘之 教授

亀田弘之教授

人間の“思考と言語”に着目し、高度な知識情報処理やコミュニケーション技術の研究に取り組む亀田先生。今回は、今年4月から戦略的教育プログラムとしてスタートしたIoTに関する実践的なプロジェクトについて伺いました。

■この4月から始まったコンピュータサイエンス学部の戦略的教育プログラムについて教えてください。

 「実践的IoTのPBL(Project Based Learning)教育プログラム」と名付けていて、コンピュータサイエンス学部(以下CS学部)の3年生を対象にしたプロジェクト実習のひとつとして始動しています。具体的な話の前に、まずIoTについて説明しましょう。最近、IoTという言葉をよく耳にするという人も多いと思いますが、これは「Internet of Things」(モノのインターネット)のことで、これからの社会で非常に重要になってくるものです。ではIoTとは何なのかというと、とても幅広い範囲のものなので、立場により捉え方や定義は違ってきますが、CS学部においては「“機械と機械”や“人と機械”がつながること」と位置づけています。
 インターネットの普及でウェブや検索機能が出てきて、世の中はがらりと変わりました。ただ、その当時、ネットワークを利用しているのは、人間でした。人間が人間にメールを送ったり人間が何かを検索したりというのが基本イメージだったわけです。それがセンサやAI(人工知能)を持ったコンピュータなど、人間以外のモノもインターネットを利用するようになってきたというのがIoTです。とはいえ人間が関係なくなったわけではありません。例えば、センサやAIを搭載した自動運転車があったとして、それによるサービスを受けるのはまぎれもなく人間ですよね。ですから人間と機械がより複雑に関わるようになったとも言えるわけです。そういう意味では、IoS(Internet of Service)という表現もあります。CS学部におけるIoTは、このIoSの意味合いが強いものだと言えますね。
 さて、本題の「実践的IoTのPBL教育プログラム」ですが、簡単に言えば、学生にIoTアプリケーションの開発を通じて、IoTに関わる基礎知識や中核的なスキルを身に付けてもらい、いずれ社会に役立つ、価値あるものをコンピュータで生み出せる人になってもらおうという目標の下、進めているプロジェクト実習になります。特筆すべき点に、まず開発環境が挙げられます。IoTのアプリケーションを開発するために、実社会で使われているPTC社のIoTプラットフォーム「ThingWorx」を使用しています。また、IoTという最先端技術を扱うため、大学の教員だけでは補えない産業界におけるニーズや現状を知ってもらおうと、企業の方を招いて全6回の授業をお願いしました。そこでは基礎技術の指導はもちろん、ゼロからアイデアを考えて、それをどうビジネスに生かすのかというビジネスモデルの考え方なども教授してもらいました。今後は、学生たち自身でアイデアをIoTアプリケーションという形にし、12月頃に学外で成果発表を行って企業の方から評価と助言をもらう予定です。学生は自分の興味あるもの、つくりたいものをつくろうとしがちですから、自分たちのつくったIoTアプリに対して、実社会で活動する企業の方から見た客観的な意見をもらうことによる気づきは大きいと思います。
 その後は、いただいた助言を踏まえて、3月までにIoTアプリを完成させます。また、希望者には学会発表をしてもらったり、コンテストやIoT分野のハッカソンに出場したりと、学外との関わりを積極的に持つつもりです。

■IoTアプリケーションとは、どんなものなのでしょうか?

 IoT自体が幅広いので、アプリにも色々ありますが、例えば、この教育プログラムで学生がつくっているのは、都内の温度や湿度を一度に見られるというものです。今は単に各データを集めてきて、グラフ表示しているだけですが、こうしたさまざまな情報をリアルタイムで入手して何ができるかということを考えています。例えば、学内のトイレの混雑状況がわかるとか、スクールバスの運行状況をリアルタイムで知らせるとか。まだ身の回りでの発想でしかありませんが、何か役立つアプリをつくろうと取り組んでいます。ポイントは、リアルタイムで情報を集めてきて、その情報をどう処理して役立てるものにするかということです。
 また、従来の実験の授業であれば、事前に教員が準備していますが、このプロジェクトは本当の最先端の開発に挑みますから、学生も教員も予期せぬさまざまなトラブルに直面し、手探りで解決しながら進めています。実際の開発現場では、学生実験のようにすんなりとはいかないということを、学生たちは身をもって経験しているところです。

■先生のご研究の近況をお聞かせください。

 5,6年前からいくつかの大学病院とともに統合失調症患者の認知リハビリテーションプログラムのひとつとして、認知機能を高めるゲームソフトの開発に取り組んでいて、2年前に一般公開しました。今度はそれをUnityというゲームエンジンで書き換えてバージョンアップさせようと、有志学生や本学系列の専門学校と一緒に進めています。統合失調症の方の低下した認知機能を仕事ができるレベルにまで回復させるゲームです。単にバージョンアップさせるだけでなく、今よりも総合的な能力を使うようなゲームを増やしたいと思っています。またVRの導入も考えているところです。最終的には、国際バージョンをつくって世界中で利用してもらうことを目標にしています。

■最後に受験生・高校生へのメッセージをお願いします。

 高校生の皆さんからすると、CS学部はプログラミングを学ぶところというイメージだろうと思います。しかし、単にプログラムが書けて、それをちょっと利用するというのであれば、CS学部でなくてもできます。逆に、本当に社会で使えるプログラムやソフトウェアの開発は、CS学部で学ばなければできません。例えばインフラなどの社会基盤となるものをつくるには、つくり方はもちろんセキュリティなども含めて学ばなければなりません。また、IoTに絡めて言えば、複雑なシステムがインターネットを介してさらに複雑につながり合う、そんな複雑な環境下でさまざまなソフトウェアを動かすには、ソフトウェアやプログラミングのプロフェッショナルでなければできません。そのプロフェッショナルを育てるのがCS学部です。ここでCSの基礎から最先端まで学んで真のプロとなり、社会で活躍してほしいと思います。

■コンピュータサイエンス学部WEB:
http://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html

・次回は9月8日に配信予定です。