軽部学長のきらっとひらめきコラム

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[2016年度]第7回 大きく変化する時代における大学の存在意義

2016年11月11日掲出

 皆さん、こんにちは。今回は少し視野を広げ、これから大きく変化していく時代のなかで、大学にはどのような存在意義があるのかについて、お話ししたいと思います。

 私は今年の夏、アメリカを訪れたのですが、そこでクリントンvsトランプの大統領選に沸く人々の姿を見て、アメリカが大きく変わっていくことを予感しました。一方、ヨーロッパでもイギリスのEU離脱やドイツの難民受け入れ、またギリシャやイタリアなどの経済悪化と多様な問題が山積しています。このように世界情勢にざっと目を向けただけでも、将来への不透明感がこれまでにないほど強くなっていることがわかります。そして、たとえば次のアメリカ大統領が誰になるかは、遠く離れた日本も大きな影響を受けるのです。
 このように先が見えない時代に、どのような人材を育てていけばいいのか。これは大学にとって大きな課題です。

 また、足元に目をやれば、そこに横たわっているのは今後すべての大学が直面していく少子化問題です。2018年度から日本の18歳人口は更なる減少期に入り、2031年度には100万人を割ると予測されています。そのなかで各大学が生き残るためには、さまざまな改革や統廃合などが必要になってくるでしょう。
 本学もすでに入試改革に力を入れていますが、そういう具体策とは違う次元で本質的に重要なのは、大学の個性をどうやって発信していくのかということです。

 本学が掲げる「実学主義」は、実学教育を通して職業に対する適応性のいい学生、いわゆる「職能」の高い学生を育てていこうという試みです。さらに、このコラムの第一回でもお話ししたように「実学主義(イズム)」の「主義(イズム)」にはコンピテンシーなどの人間教育も含まれています。職能教育をしっかりやりつつも、現在の知識や技術だけに満足するのではなく、技術や社会の変化にも柔軟に適応していける力もあわせもった人材を育てていきたい。それが本学の目標であり、個性でもあります。

 変化の激しい世界において大学がやるべきこと。それは時代が変化してもそれに対応できるような柔軟な発想力を持った学生の育成しかありません。適応性の高い、時代の変化に耐えられる人材を育てていくこと。それがこれからの大学が持つ重要なミッションであり、我々は卒業までに本学における学修到達目標「ラーニング・アウトカムズ」を身につけることで、それが実現できるだろうと信じているのです。