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学生フォーミュラ出場を目指して、再生可能エネルギーのみで走るEV製作にチャレンジしています!

2017年11月10日掲出

工学部 電気電子工学科 高木 茂行 教授

高木 茂行 教授

電気エネルギーを効率よく利用することでサステイナブル社会に貢献しようと、排熱発電などの研究に取り組む高木先生。今回は先生が中心となって進めている工学部の戦略的教育プログラムについて、お話しいただきました。

■今年4月から工学部で始まった戦略的教育プログラム「再生可能エネルギー利用EV製作教育プログラム」についてお聞かせください。

 工学部の1~3年の学生有志で、再生可能エネルギーのみを使って走るEV(電気自動車)を製作し、学内走行はもちろん最終的には「全日本 学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)出場を果たそうという目標で進んでいるプログラムです。そもそも、なぜEV製作なのかというと、電気電子分野で今、一番ホットなテーマだからという理由が挙げられます。これからの自動車はCO2削減のため、エンジンから電気に置き換わると言われていますよね。また、EVであれば工学部の全学科が関係してきますから、そういう点でも良いテーマだということで決めました。
 このプログラムの教育的な狙いとしては、学生が実際にEV製作で必要となる最新技術を知り、それを実践する力が身につくことや、本学部が掲げるサステイナブル工学を学ぶことができるところにあります。たとえば、今回、製作するEVを走らせる再生可能エネルギーは、学内に建てられたスマートハウスの太陽光発電と風力発電でつくられたものです。そういうエネルギーを有効活用するためにどんな工夫ができるかということを通して、学生にサステイナブルやエネルギーの大切さを理解してもらいたいと思っています。それと並行して、車をつくる喜びも味わってもらおうと、学外レースへの出場を最終目標に設定しました。

■現在、どのような進捗状況ですか?

 今、参加学生は各学科合わせて50名ほどいて、カウル(車体カバー)、車体フレーム、パワートレイン(モーター・電気系統)と、3つの製作グループに分かれて進めています。一応、各学科の専門性を活かせるように、カウルは応用化学科と機械工学科、車体フレームは機械工学科、パワートレインは電気電子工学科の学生で構成しています。進捗状況は、全体としては計画よりやや遅れていますが、年内に1号機を完成させ、年明けにテスト走行できればと考えているところです。
 車体フレームは機械工学科の福島E.文彦先生が中心となって進めてくださっています。すでにフレームに使用する金属パイプの切断が始まり、溶接機も揃ったので、遅くとも年内にはフレームが完成する見通しです。フレームが完成すれば、目に見える形になるので、学生のモチベーションも一層、上がってくるだろうと思います。また、福島先生の研究室でフレームの強度計算もしていただけたので、万一、倒れたりぶつかったりしても安全性を保つことができるように設計されています。
 一方、私が中心となっているパワートレインは、すでに4枚のインバータ基板が完成し、今はEVに欠かせない永久磁石同期モータのコイルを手巻きしている段階です。コイルの巻き数を変えることで、自分たちの欲しい性能のモータに微調整することができます。
 カウルは、やや難航しています。ガラス繊維などをプラスチックに入れて強度を高めた強化プラスチックでつくろうと進めていますが、車体に使うだけのサイズのものをどうつくるのかという問題があります。今、発泡スチロールの型を使って強化プラスチックを試作していますが、型からうまく取り外せないという問題が起きています。そこをどう解決しようかと応用化学科の須磨岡 淳先生や学生たちが考えているところです。
 また、1号機の車体デザインに関しては、デザイン学部の中島健太先生にご協力いただけることになっています。

カウル活動
カウル活動
車体フレーム_寸法取り
車体フレーム_寸法取り
パワトレ活動
パワトレ活動
機械加工
機械加工

■実際にプロジェクトが動き出した今、どんな課題がありますか?

 大きな壁にはまだ直面していませんが、どの分野も予想以上に難しいというのが正直なところです。教員も実際に車をつくるのは、初めてのことですからね。各チームの技術的な課題だけでなく、たとえばカウルを試作するとき、溶剤のにおいがすごいので作業場所を別で確保しなければならないといった、始めなければわからなかったこともあります。
 また、基板に関していえば、今年の学生フォーミュラを視察に行った学生の報告によると、EVは出場台数が少ないのですが、完走できる車も少ないとのことでした。その原因のひとつは、電気系統の信頼性が十分ではないからのようです。たとえば、基板などの半田付けが一部不完全だったため、走行中に外れて電気系統に不具合が起きるといったことがあるようです。そういう細かなことに注意を払い、ひとつずつクリアしながら進めていかなければなりません。

■今後の展開をお聞かせください。

 年内に1号機を完成させて学内を試走し、来年6月のオープンキャンパスでは、高校生・受験生の皆さんに試乗してもらえる形にできたらと考えています。モータも制御に関しては後回しにして、まずは走らせてみようと思っています。それから少しずつ制御を加えていく予定です。たとえば、角を曲がるときにモータの回転を内側と外側とで変えるといった工夫や、ブレーキを踏んだときに生じるエネルギーを利用する電力回生の有無、アクセルの踏み具合によってモータの回転数をどれくらいに設定するかといったことを制御で入れていきます。
 それから4年間の計画としては、1号機のノウハウを2号機に、2号機のそれを3号機に引き継ぎ、3号機を学生フォーミュラに出場させる予定です。とはいえ状況によっては、2号機での出場もありえます。また、今年は初年度だったので教員が製作を指導しましたが、今後は学生中心で進めていく体制に移行していきます。すでに3年生が自発的に動き始めているので心強いです。というのも学生フォーミュラは、すべて学生の手で取り組まなければならないからです。また、このプログラムの終了後も、サークルのような形でEV製作と学生フォーミュラ挑戦を続けていければと考えていますので、運営資金の集め方も含めて、今後、学生に検討してもらわなければなりません。

定例会
定例会

■最後に受験生・高校生へメッセージをお願いします。

 この戦略的教育プログラムのように、チームワークを築きながら、みんなでひとつのものをつくり上げていくのが、工学部の喜びであり醍醐味です。とりわけ今回のような学科を超えたチームで、何かに取り組む機会はそう多くはないだろうと思います。そういう体験をぜひ大学時代にしてもらいたいですね。こうした取り組みを通じて、たくさんの仲間と知り合い、可能性が広がっていくことは、本当に素晴らしいことだと思いますから。

・次回は12月8日に配信予定です。