研究プロジェクト

メディア学部 新たな発見と視点を社会にもたらす「可視化」技術を開発

1)流れ場の可視化。実際の流れをビデオで撮影したものの上に、数値計算結果を可視化し、重ねて表示している。経過時間毎の流れを解析し、その情報をもとに色付けすることにより、任意の流速で渦の発生を可視化することができる。( データ提供:東北大学流体科学研究所 早瀬研究室)

2)物体の内部構造を非破壊で可視化でき、医療や故障解析などにも活用されるX線CT。本学部では、CT撮影時に入るノイズ(アーチファクト)を低減させる技術の開発や、ノイズの発生をシミュレーションするソフトウェアの開発にも挑戦している。

3)ステント※配置による動脈瘤内の血流の変化の可視化。可視化によって血流の変化を視覚的に捉えることで、動脈瘤破裂を回避でき、最適なステントの形状や配置を求めることができる。
※ステント・・・血管などを内部から拡張することができる網目状の金属の筒。医療機器として用いられる。(データ提供:東北大学流体科学研究所 太田研究室)

自然現象や社会現象の解明をはじめ、社会に幅広く貢献する可視化技術。

 数字だけではわかりにくいデータを、コンピュータを使って三次元のグラフや画像にすると、全体の変化や傾向が手に取るようにわかりやすくなったり、気づかないものが見えたりします。このように、CG技術により大規模な数値データを画像に変換し、視覚的な解析を可能にする技術を「可視化」といいます。

具体的な研究例としては、「動脈瘤(どうみゃくりゅう)の可視化」があります。動脈瘤という血管にできた「こぶ」に、血流により圧力がかかると破裂して重大な障害が生じます。そこで、医工学の研究者が「静脈にどれくらいの血液が入ると破裂するのか」「血流をコントールするために血管内入れられるステントという器具がどのように圧力を分散させるか」をシミュレーションして算出したデータをもとに、三次元の動脈瘤の画像を作り、それを解析することで破裂を避ける方法の解明をめざしています。

また、CGによる可視化のメリットのひとつは、現象を壊したり乱したりせずに観察できる点にあります。たとえば、流れ場を内部から観察しようとした場合、そこに観測装置を入れた途端に本来の流れはこわれてしまいます。そこで流れ場を数値計算してCGで再現し、実際の計測実験画像に重ねることにより、観察機器を使わずに、実際には目に見えない圧力場を観察できるようになります。

さらに、社会現象や音楽といった物理現象として観測できないデータも可視化することで見えてくるものもあります。もともと三次元の現象としてあるもののデータを、単に「見える」ようにするのはそれほど困難なことではありません。次元とは関係のないデータを可視化することにより、意外なものが見出せることがあるのです。

 たとえば、これまでの本学部の取り組みのひとつして、「Twitterのつぶやきの可視化」研究があります。つぶやきの内容を解析して、それがポジティブなのかネガティブなのかを調べ、時間とともにそれが変化していく様子を可視化したり、あるテレビ番組の視聴者がどんなつぶやきをしたかを可視化したりする研究などを行いました。

 その他のユニークな例では、楽曲のイメージをCG画像化する「音楽の可視化」の研究もあります。気分によって聞きたい音楽は変わりますが、知らない曲を聴くとき、特に演奏時間の長いクラシック音楽などを聴くときは、事前に曲全体の雰囲気を知りたいと思う人は多いでしょう。そこで、音階や曲調といったそれぞれの要素に関する数値を抽出して、それらを図形で視覚的に表現することで、曲を聞かなくても視覚的に全体の構造や雰囲気を理解できるようにする研究を行いました。円盤のような図形で音の長さや高さを表し、円盤の色で曲の明るさや暗さといった雰囲気を表すことで、目で見て曲の雰囲気をつかむことができます。

 このように新たな現象の発見や物事の因果関係の解明などに役立つ可視化は、幅広い可能性を持つ技術であり、その研究成果には社会のさまざまな分野から注目と期待が寄せられています。

研究紹介

医療シミュレーション ~人々の暮らしとCG

CG技術の研究について紹介したビデオです。様々な分野で使用されるCG、こちらのビデオは医療分野について一部紹介しております。

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