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[2013年度]第2回「東京工科大学の理念である、実学主義教育。これを行うことで伸ばしていける、3つの力について」

2013年6月14日掲出

皆さん、こんにちは。今回は本学の理念である<実学主義教育>。これを行うことで伸ばしていける、3つの力についてご紹介します。

前回は、本学の理念は<実学主義教育>だというお話をしました。では、その<実学主義教育>とは、いったいどんなことなのでしょうか。
ご存知の通り、世界の経済は非常にグローバル化しています。このような時代に適応できる、国際的に通用する人材を育成しなければいけません。つまり海外に行ってもちゃんと働けて、成果を挙げられる人を育成しようということです。要は “国際的な教養を身につけた人材の育成”を第一に考えているのです。

欧米でいっしょに仕事をするとわかりますが、欧米人は批判的に物事を見たり、考えたりします。それをごく当たり前に、行っているわけです。自分の優位さを示すために人を批判し、それで自分の存在を人に示すわけです。しかし日本は、そういうやり方をしてきませんでした。なぜなら聖徳太子の時代から、農耕民族にとっては<和>を尊ぶことが大切だったのです。人との<和>が日本の文化の中心にあったと言えます。
ところが、欧米の国々は違います。世界の国々と競争して生き残るには<和>だけでは不十分です。つまりどういうことかと言いますと、自分の主張が必要になってくるのです。自分の持つ知識や技術の優れた点を相手とのディベートで主張し、自分の優位さを相手に示さなければなりません。日本が世界と対等にやっていくためには、日本人も批判的に物事を考えることが必要になってくるわけです。これを英語で言うと、critical thinkingということになります。つまり世界に通用するためには、critical thinkingのできる人材を育成していく必要があるわけです。これが二つ目に必要なことです。

たとえば論理的に物事を考える(theoretical thinking)と、相手が矛盾を突いてきます。それをcritical thinkingで応答することで、ディベートが成立するわけです。だいたいcritical thinkingができる学生というのは、当然のこととしてtheoretical thinkingができるわけです。つまりcritical thinkingとtheoretical thinkingは一対なのです。そういう経験をさせて、教育していかなくてはなりません。当校ではcritical thinkingとtheoretical thinkingができる人材を育成しています。

 またcritical thinkingすると何が起きるかというと、問題を発見できるわけです。人を批判してみると“相手はこういうところが弱い”それではそこを責めれば、相手を議論で負かせることができるわけです。

 また問題や課題が見つかれば、それを解決していかなくてはなりません。どうしても<創造力>が必要です。それで三番目には、<創造力>を挙げています。これは大学生にとって、最も難しい能力のことです。新たにつくるということですから。
そもそも人間は、いきなり創造力を発揮できるわけではありません。まずは問題や課題を発見し、それを解決しようとして実現できることです。だから問題意識がないと、創造はできません。
たとえば、ボールペンを例にとります。ボールペンはニュートンの万有引力の法則に従っているのです。我々と天体との間には、引力が働いています。引力が、上から下へ働いているからインクが出て、書けるのです。しかしニュートンの万有引力の法則に従って書けているということを、知っている人はほとんどいません。

たとえばこのペンで壁に向かって書いたとしたら、少しの文字であれば書けます。しかしペン先が少し上を向いたら、書けなくなります。ましてや天井に字を書くとしたら、全く書けないはずです。何せインクは下の方に流れますから、上には出ないわけです。
では天井に字の書けるボールペンをつくるには、どうしたらいいのでしょうか。そういう気持ちをもって、はじめて課題が生まれます。なぜ天井に絵が描けないのか。それはボールペンのインクが重力に逆らって出ないからです。それではインクが出るようにするにはどうすればいいのか。
たとえばペンの本体に超小型のボンベでも入れて、圧力をかければいいのです。しかしインクはずっと出たままになって、書いても書かなくてもインクだらけになってしまいます。そこでスイッチ機能を取り入れて、指圧をかけるとインクが出て書けるようになる方法もあるでしょう。すると天井でも書けるはずです。実はこれは発明になっています。NASAが宇宙ペンとして特許をとり、販売しているのです。
ここまでブレイクダウンしてみると、創造性というのは問題を発見できれば発揮できることがわかるでしょう。本を読んでいても、“おかしい”と思えば自分で確認しなくてはなりません。私も科学者ですから、問題を常に探してしまうわけです。そういう批判的に物事を考えれば、いくらでも発見できますし、誰でも発明家になれるわけです。要はそれを習慣化していくことが大切なのです。

 国際的な教養力とcritical thinking、創造力。この三つをセットにして私は、実学主義教育と言っています。それさえできれば、世界のどんなところへ行っても、やっていけると思います。特に欧米では攻撃的な意見が出ますから、それに対して「あなたの言うことはわかるけれども、ここは問題じゃないの?」と言うことができます。つまり議論ができるわけです。相手に和をもって「なるほどあなたの言うとおりです。あなたに従いましょう」では、従属的になってしまいます。ところがcritical thinkingをすれば、相手に対して受けて立つことができます。そういう人間を育てたいというのが、実学主義ということになります。結局、大学の教育目的は“問題を発見し、解決できる人間をつくる”ということです。企業はみな、そういう人間を求めているわけですから。

次回は、東京工科大学の<教育力の強化>についてご紹介します。