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さまざまな研究成果を結集させて、いつか大学発のスキンケア化粧品や発毛・育毛剤を開発したい!

2014年2月14日掲出

応用生物学部 前田 憲寿 教授

応用生物学部 前田 憲寿 教授

肌荒れ、シミ・そばかす、シワやたるみ、ニキビなど、さまざまな肌トラブルに効果のある新素材を追究するなど、皮膚の健康を考える「美科学研究室」を率いる前田先生。今回は、前回の取材で伺ったスキンケア化粧品の研究のその後や、新たに取り組んでいる研究についてお話しいただきました。

過去の掲載はこちらから→ 
http://www.teu.ac.jp/interesting/017267.html

肌の状態をさまざまな機器で評価している
肌の状態をさまざまな機器で評価している

■今、先生の研究室では、どのような研究に取り組んでいるのですか?

 研究室では、肌を健やかに保つスキンケア化粧品の研究に力を入れていますが、最近は、食品で肌をきれいにするというニーズが大きくなってきているため、肌をきれいにする食品に関する研究も行っています。スキンケアの考え方からいうと、肌の外側からの保湿も大事ですが、やはり食品を摂ることで身体の内側から肌をきれいにしていくことも大切ですからね。また、シワやたるみについては、内服薬や食品でも効果が出ているものもあるので、期待できると思います。具体的に研究室で取り組んでいるのは、たとえば肌に良いとされるコラーゲン飲料を30~50代の方たちに1ヵ月ほど飲んでもらい、その方たちの肌の状態を学生が測定しています。コラーゲン飲料を飲む前と後とでは、肌の水分量やハリ、たるみなど、肌の状態がどう変わるのかを調べた結果、コラーゲンを摂取することで肌の状態がずいぶん良くなるとわかりました。同時に、その評価方法についても、より正確に測定できるような方法を開発しました。

 また、コラーゲンを摂取することで肌の状態が良くなるメカニズムを調べてほしいという依頼を食品会社から受け、調べてみたところ、保湿に関するタンパク質のmRNA発現がコラーゲン分解物で増加することがわかりました。それから最近では、食品で肌のシミやくすみが良くなるかを調べてほしいという依頼を別の食品会社から受け、調べてみたところ、ある食品を摂ることで肌のシミやくすみが良くなることもわかりました。さらに美容機器の有効性なども電機会社からの依頼で調べています。こんなふうに企業との共同研究を通して、企業や消費者が解決を求めている問題を研究室の学生と一緒に解決に導くということも、大学のひとつの役割ではないかと思っています。

  さらに、前回の取材時にはまだ取り組んでいなかった発毛・育毛関係の研究が順調に進んでいます。3年ほど前から効果が高い発毛・育毛成分を探そうと取り組み始め、現在も研究が進行中です。まだ具体的なことは言えませんが、今、いくつか植物由来成分で発毛・育毛に効果があるものを見つけていて、その中からより効果が強いものを絞り込もうとしているところです。ちなみに毛髪関係の研究については、研究室で取り組んでいる発毛・育毛成分の探索研究以外に、化粧品会社と共同で進めているスタイリング剤などヘアケア化粧品ならではの研究も行っています。また、ネイル関係の研究も受託しています。

LCCサークルの打ち合わせ風景
LCCサークルの打ち合わせ風景

■スキンケア化粧品の研究についても、進んでいるものがあるのでしょうか?

 企業との共同研究ですが、その他にアンチエイジング用の新しい美容液をつくってほしいという依頼があり、今、ちょうど3年生が取り組んでいるところです。「創成課題」という授業の一環で、週1、2回、3年生が研究室に足を運び、研究に取り組むというものです。今は、肌にハリ感を出すような即効性のある成分や古い角質を取り除く成分、翌朝までうるおいが持続する成分などを加えた美容液の処方をつくることに取り組んでもらっています。いくつかの効果的な成分の中から、どれが良いかを選ぶため、学生たち自身が実際に手などに塗ってみて、効果や使用感などを調べています。つまり化粧品会社の研究員がしていることと、ほぼ変わらないことをしてもらっているのです。安全で効果があり、使用感・安定性ともに良い乳液やクリームなどのスキンケア化粧品の処方開発やその評価方法が研究室の強みで、学生が処方設計した化粧品がいくつか企業で採用されています。

  また、2012年に化粧品に興味のある学生が集う「LCCサークル」というサークルができ、学生たちは自らさまざまな課外活動をしています。所属メンバーは70~80人いて、メイクアップ、スキンケア、マーケティングの3コースに分かれて活動しているようです。そういうところから考えても、学生の意識がそうとう高いんですよね。そういう学生たちが3年生になって実際に研究に取り組むことになりますから、非常に期待できます。応用生物学部の動画サイトに動画が掲載されているので、ぜひご覧ください。

■先生の研究室では、香りに関するご研究もされているそうですが。

 ムスクの香りに力を入れて研究しているんですよ。そもそもきっかけは、3年前に研究室に所属していた学生が、ムスクの香りを嗅ぐと、皮膚の血流量が上がって冷え性が治るという研究に取り組んだことに始まります。研究方法はシンプルで、水に手をつけた後、水からあげると、冷たくなった手が自然ともとの体温に戻っていきますよね。そのときにムスクの香りを嗅いでいると、元の体温に戻るのが早くなるということを、赤外線カメラを使って温度変化を捉え、測定したんです。この結果を学生は学会で発表し、受賞しています。また、それが評価され、現在は香料の会社で働いています。

 この研究は今も当研究室で受け継がれていて、その学生が卒業した翌年は、なぜムスクの香りを嗅ぐと体温が上がるかのというメカニズムを調べ、さらにその翌年には、女性ホルモンが上がるかどうかということを調べました。結果、女性ホルモンが上がると判明したので、たとえば女性用の更年期対応の化粧品や育毛剤などに加えられないかと考えているところです。同様の研究で、最近はバニラの香りについても研究しています。バニラも温かく感じさせる効果のある香りですからね。そういう意味では、香りの機能性もなかなか面白い研究だと思いますよ。

研究室の学生と一緒に
研究室の学生と一緒に

■最後に、今後の展望をお聞かせください。

 研究室で肌や毛髪に良い成分を研究開発していることもあって、今後は大学発の育毛・ヘアケア関係の商品をつくりたいという目標があります。もしそれが大学発のブランドとしてうまく軌道に乗れば、いずれはスキンケアの美容液分野で抗シワ・たるみなどの化粧品を開発できたらと考えています。ただ、いずれにせよ明白な効果がないと、大学からはリリースできませんから、その辺りを含めてきちんと裏付けしていかなければなりません。

 また、香りについては、非常に低い濃度でも有効性を発揮しますから、それも化粧品に応用できるのではないかと思っています。

・次回は3月14日に配信予定です。