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変化の激しいICTの世界に柔軟に対応できるよう、新しいコンピュータサイエンス学部で“学び方”を学ぼう!

2014年5月9日掲出

コンピュータサイエンス学部 亀田弘之 教授

コンピュータサイエンス学部 亀田弘之 教授

2015年4月よりコースが再編されるなど、新しい教育体制でスタートするコンピュータサイエンス学部。新たに始まる取り組みや今まで以上に充実する点、教育の方向性などについて、コンピュータサイエンスの現状を交えながら、学部長の亀田先生にお話しいただきました。

■来年度からコンピュータサイエンス学部が新しくなると聞きましたが、どのような点が新しくなるのでしょうか?

 具体的なことは追って説明しますが、まずは新しいコンピュータサイエンス学部(以下、CS学部)を誕生させるに至った背景について話したいと思います。2003年、東京工科大学にCS学部ができた当時は、まだ“コンピュータサイエンス(Computer Science)”(以下、CS)という言葉自体、日本ではまだ馴染みの薄い時代でした。それがここ数年、CSの分野は世界的規模で急速に注目されるようになってきました。コンピュータの最先進国の1つのアメリカでは高校ですでにコンピュータサイエンスの一部(初歩的なプログラミング)を教えるところも増えつつあり、コンピュータサイエンスを専攻する大学生の数も着実に増え続けています(“Students flock to study computer science degrees,”ComputerWeekly.com参照)。たとえば昨年、アメリカのオバマ大統領がアメリカの若者に向けて、「コンピュータサイエンスを勉強しよう」というメッセージをYouTubeにアップしました。そこではCSを学ぶことが、若者自身の将来において重要というだけでなく、アメリカという国にとっても非常に重要なのだと言っています(“President Obama asks America to learn computer science,” Code.org参照)。こうした流れもあって、恐らく今後いろいろなところで、“コンピュータサイエンス”という言葉を耳にするようになると思います。そういう時代の変化に鑑み、CS学部を21世紀仕様に合わせて再生(reborn)することになったのです。

  従来のCS学部からの具体的な変更点としては、これまであった2年生前期で選択する7つのコースをこれからの時代に沿った形に整理して4コースにするほか(2015年4月より)、教育体制や入試についても見直しを図ります。たとえば教育体制では、変化の激しいコンピュータの世界で、どのような変化にも長期にわたって柔軟に対応できるよう、今まで以上に1、2年生の基礎教育の徹底を図っていきます。CS学部における基礎教育とはプログラミングのことです。ですから今後はプログラミング教育に重点を置く形になります。ただし、ここで重要なポイントは、それが単にプログラミング技術を身につけることを目的とした基礎教育ではないという点です。IPA(情報処理推進機構)の調査(IPA,“IT人材白書2014”,企業のグローバル展開動向と求められる人材像 ~世界で戦えるIT人材に求められるもの~)によると、日本の企業がCS分野や情報系分野の人材に求める能力は、プログラミングやコンピュータ操作といった技術力に加えて、マネジメント力、積極性、チャレンジ精神といったプラスアルファのさまざまな能力だと発表されています。それでは、そういう技術力プラスアルファのさまざまな能力をどのように身につけ、伸ばしていけばよいのでしょうか。そこを踏まえて新しいCS学部では、プログラミングの勉強を通じて基礎的技術力を養いつつ、同時に21世紀の社会で求められる知識や能力を身につけるという方法を採ろうと考えています。具体的には、論理的思考能力、複雑さに惑わされない問題解決能力、若者らしいチャレンジ精神や積極性、失敗してもくじけない粘り強さ、国際化も視野に入れたコミュニケーション重視の言語能力(国語力と外国語力)などです。

■プログラミングの授業内容が大きく変わるということでしょうか?

バス運行状況図
バス運行状況図

 内容的には変わりませんが、プログラミング言語それ自体を学ぶための授業ではなく、プログラミングを学ぶことで将来どういう価値あることができるのかがわかる、学んでいてワクワクする授業にしたいと思っています。そのためには、教え方や教材を工夫しなければなりません。たとえば、ICT(Information and Communication Technology)先進国のアメリカでは、「バスに忘れ物をしたので自分が乗っていたバスを捕まえるために、そのバスが今どこを走っているかを把握し、近くに来たら知らせくれるようなプログラムを書いて、荷物を取り戻そう」というような課題が出されたりします。その街にバスが何台走っていて、どのバスがどこを走っているかといったことは、バスの運転手のID番号やGPS情報など、これらはオープンデータとして公開されているのですが、で把握できるビッグデータ時代なので、その情報を上手く使って、どんな価値あるものがつくれるかということを考え、実際につくることができるわけです。CS学部の学生も、こういう良問を通して実践的に学ぶことができたら面白いだろうなと考えています。単にプログラムが動いた、プログラムの書き方がわかったというだけでなく、学生自身や社会にとって真に価値あるものをつくるということを、実際に手を動かしながらHands-On(実践的)な方法で学ばせていきたいのです。そのためには、教材の工夫も必要になってくるので、現在、そこを詰めています。

学習のピラミッド図
学習のピラミッド図
(出典)学習のピラミッド

 また、学び方に関しても、教員が一方的に教えるという方法は採らないようにします。これまで本学が推進してきたPBL(Project Based Learning)やアクティブラーニングは、引き続き実施しますが、それに加えて学生同士で教え合う(learning by teaching)という方法も積極的に取り入れていく予定です。学生同士で教え合うことは、時として間違ったことを教え合ってしまうという危険性はあるのですが、互いに教え合うことで知識の定着率が良くなり、自分のものにしやすいという研究データもあります。そして何よりも変化の速いICTの世界では、学生が自ら何を学ぶべきか、何が正しいかを主体的に追い求めていく習慣や能力を身につけることこそが最も重要だと考えています。そういう一生モノの力を養うためにも、学生同士の議論や教え合いを重視した教育体制が必要だと言えるのです。
 それから今、MOOC(Massive Open Online Courses)との関連で世の中で注目を集め始めている“反転授業”も実施します。これは家で事前に授業の内容を予習し、授業ではその知識を使って応用問題を解いたり議論したりするという学習方法のことで、本学部でもすでに一部の授業で取り入れ始めています。こうした本学のOnly One(ここにしかない優れた)の教育方法や教育体制によって、「学び方を学ぶ(learn how to learn)」ということを進めていきたいと考えています。

 また、細かいカリキュラムの話としては、英語教育にも力を入れていきます。これからは国際化の時代ですので海外には英語で発信することになりますが、それとともに特にCS分野の場合、さまざまな先端的プログラミング技術の動画がYou Tubeなどのサイトに英語でアップされていて、それを見て学ぶということが少なくありません。そうした教材となる動画は、英語のネイティブスピーカーが同じくネイティブスピーカーに向かって話している講義になりますから、画面を止めたり、繰り返したりしながらでも、粘り強くていねいに内容を理解する必要があります。つまり英語ができる、できないに関係なく、先端的なプログラミングの動画を見て学ぶには、最低限の英語を理解しなければならないのです。このように学習教材などを通して学生が英語に触れる機会は多いですし、CS学部としても留学生の数を増やして英語に親しみやすい環境づくりをしていこうと思っています。学部内に留学生が増えることは、英語の上達だけでなく、世界の多様な文化・価値観を学ぶことにもつながりますから、留学生招致には力を入れていきたいですね。

■では、新しい4つのコースについて、お聞かせください。

 CSという学問分野自体は本当に範囲が広いのですが、CS学部ではICT、つまり情報通信技術の分野を学びの中心に据えています。やはりICTは社会基盤であり人々の生活に深くかかわるものですから、実学主義を掲げる本学としては、それを学びの中心とすることは当然とも言えるわけです。そのICTを平成27年度からは、「コンピュータ・ソフトウェアコース」「システムエンジニアリングコース」「ネットワークコース」「応用情報コース」の4コースに分けて、専門的に学んでいけるようにします。

 「コンピュータ・ソフトウェアコース」は、「こんな情報システムやプログラムがあったらいいよね」と思うものを自ら発想し、それを提案・企画・実装することができる人材、すなわち、社会で使ってもらえる価値あるものを創造性をもってつくれる人たちを育成するコースです。「システムエンジニアリングコース」は、最先端のソフトウェア開発技術を学んで、顧客の「こんなシステム作ってほしいな。こんなことできるようにしたいな。」という要望に的確に応えながら高品質な情報システムの設計・開発・管理ができる、システム開発のプロを育てるコースになります。また、「ネットワークコース」は、個人、企業、社会全体の活動を便利にする高速・高品質な情報通信ネットワーク技術を学ぶコースです。情報ネットワーク関係のアプリケーションや、パーソナルコンピュータとともにスパートフォンなどの携帯端末用のソフトウェア、さらには新しい情報端末自体をつくる技術を身につけます。さらに、「応用情報コース」は基礎的な要素技術、たとえば音声認識などの研究や生活情報家電アプリケーションの開発、さらには医療介護サービスなどの分野まで扱う予定です。医療分野でいえば、たとえばロボット関連の研究をしている先生が進めている介護用ロボットや、e-human関連の研究をしている先生の認知リハビリテーション用ゲームなどが当てはまりますね。また、これから重要になってくると予想される、ビッグデータに関する研究を扱うデータサイエンスやIoT(Internet of Things)などの分野も「応用情報コース」で扱う予定です。

統合失調症の患者さんのためのリハビリテーション用ゲーム画面
統合失調症の患者さんのためのリハビリテーション用ゲーム画面

■最後に高校生、受験生へのメッセージをお願いします。

 繰り返しになりますが、ICTの世界は非常に変化が速いです。最近は、クラウドコンピューティングの環境が整ってきたこともあり、CSを取り巻く状況はがらりと変わりました。あと1、2年もすれば、さらに変わることでしょう。たとえばノートPCの出荷台数は、この秋にはスマートフォンやタブレットのそれより低くなるだろうと予想されています。それはつまりホームページを見に行く人が減り始めるということです。スマートフォンではホームページを見るより、アプリケーションを通してコンテンツそのものを利用することがほとんどですからね。また、現在インターネット上に流れる情報の多くは、誰かが検索したり、その検索結果のホームページを見たりする人為的活動に起因する情報だったわけですが、これからはそういう種類の情報だけではなくなります。IoT(Internet of Things)といって、たとえば洋服などのモノにセンサが取りつけられ、それがインターネットとつながって、どんどん情報をインターネット上に流す時代になってきているのです。そうすると、そこには“ビッグデータ”と呼ばれる大量のデータが存在することになりますから、それをどう処理し価値あるものにしていくのかということが、今後は重要になってきます。それらのデータはもはや人間が手作業では一生かかっても処理することのできない程大量ですので、そのためにまさにプログラミングの技術や知識が必須になるわけです。

  ただし、そこで必要とされるのは、ICT企業が何年もかけて完成させるような巨大な情報システムをつくるといった類のプログラミング力だけではなく、数行の短いプログラムをぱっと書いて、さまざまな情報を素早く取得できる力も含まれます。つまり、これからは社会や小グループなど、一部の人たちにとって価値あるプログラムを、素早く、グッドアイデアをもってつくることが求められる時代になるのです。さりげないけれども価値のあるアイデアを思いつく否や、すぐにそのアイデアをプログラムとして実現するという仕事も、ぜひ日本の学生に担ってほしいと思っています。

 また、今年に入ってからは、ソフトウェアのサステイナビリティ(持続可能性)もテーマになってきています。というのも、ソフトウェアの老朽化が新たな問題になってきているからです。大きな情報システムは、20種くらいのプログラミング言語で書かれています。たとえば、そのうちのいずれかの言語を、古くて今はほとんど使われていないからと誰も学ばなくなったら、困ったことになります。システム自体は古くてもきちんと動いているので、誰かが維持管理・運用をしなければなりませんし、動かなくなる日が来てしまったら、つくり替えなければならないからです。それにどう対処していくかが問題になっているわけです。しかし、プログラミング言語の本質や学び方をきちんと理解していれば、どんなプログラミング言語であっても理解できますし、必要ならば自ら学ぶこともできるわけです。CS分野には最先端の話しが他にもたくさんありますが、こういう観点から考えても、やはり基礎を徹底することが重要になってくるのです。

  東京工科大学のCS学部ならば、プログラミングの基礎を学びつつ、実社会やコンピュータの世界で必要となるものを幅広く学ぶことができます。若いみなさんには、その力を存分に活かして、これからの社会に役立つ、真に新しく価値のあるものを生み出していってほしいと思います。ぜひご一緒にコンピュータサイエンスを学びましょう。キャンパスでお待ちしております。

■最後に…
ここまで読んでくれたあなたへ
次の動画もぜひ見て、あなたが東京工科大学で コンピュータサイエンスを学ぶ意味・目的を考えてください。
What Most Schools Don't Teach
Let's enjoy Computer Science together!

■コンピュータサイエンス学部WEB
http://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html

・次回は6月13日に配信予定です。