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世界で活躍するエンジニアに欠かせない、国際的な教養や技術英語を学べる体制が整っています。

2014年12月12日掲出

工学部 機械工学科 大山恭弘 教授

工学部 機械工学科 大山恭弘 教授

 来春、新設される工学部では、“世界に通用するエンジニア”を育成するため、国際的な教養教育や英語教育に重きを置いた独自のカリキュラムが組まれるそうです。今回は、工学部長である大山先生に、その詳細を伺いました。

■工学部では独自の英語教育を展開するそうですが、その背景にはどういうことがあるのでしょうか?

 まず、東京工科大学の工学部が、従来のそれとは違う、時代に応える新しい工学部だというところからお話ししたいと思います。これまでの工学は、とにかく役に立つものをたくさんつくろうという考えで突き進んできました。それが原因で公害を引き起こしたり、二酸化炭素の増加による温暖化問題を起こしたりしてきたわけです。そういう問題には気づいていたけれど、それよりまずは人や社会に役立つことを優先させるものづくりが進められてきたのです。ところが近年は、10年、100年先のことを考えたときに、今までの考え方では立ち行かないという現実が大きくなってきました。つまり地球環境や資源が維持でき、持続的に発展できる社会(サステイナブル社会)やそのためのものづくり(サステイナブル工学)が必要だという流れになっているのです。そこで本学では、持続して発展する社会を実現する技術である“サステイナブル工学”を学び、そういう概念を理解したうえで、工学の基礎知識を身につけた学生を輩出する、新しい工学部をつくろうと考えたわけです。

 ところで、サステイナブルという言葉自体は、聞いたことがある方も多いと思います。また、本学の工学部のように大学で追究する学問として掲げることは新しい試みですが、世界はもとより日本の企業では、随分前からその取り組みが始まっています。たとえば、トヨタ自動車のホームページでは、新しいハイブリッド車はどのくらい省エネだとか、その車をつくる際にどのくらい二酸化炭素を排出しないで、ものづくりをしているか、あるいは走行時に使用するガソリン量が減っているから、その分、二酸化炭素を出さなくなったというようなことが数値で明示されていたりします。一方、学問としての“サステイナブル工学”はというと、まだ英語で書かれたテキストしかないというのが現状です。というのも、この分野は今まさに形成されつつある工学で、欧米が中心となって牽引しているからです。そういう現状ですから、実際のものづくりの現場へ行くと、何か少しでも調べものをすれば、すぐに英語にぶつかってしまうということになります。ですから、これからの工学を担う学生が、きちんと英語の読み書きをマスターしておくことは、非常に重要なのです。

東京工科大学教養スタンダード

■では、工学部の英語教育の具体的な内容についてお聞かせください。

 今、英語の読み書きのスキルが大事だと言いましたが、英会話としていないところがポイントです。当然、英会話はできたほうがよいのですが、エンジニアとして仕事をするうえでは、英会話よりも機械を操作するときの英語が読めるとか、英語の専門用語を知っていて、職場や取引先の外国人と意思疎通ができることのほうが重要だと言えます。ですから別にきれいな英語を話さなくても、ある程度、単語を知っていれば仕事はできるんですね。そういう現状を踏まえて、本学の工学部では英語教育を3本の柱で構成しています。

 1本目の柱は、全学部共通の教養教育科目です。本学には“教養学環”という教員組織があり、国際基準の教養、語学力、社会人基礎力を育む「東京工科大学教養スタンダード」のもと、幅広い教養科目を教えています。その中には当然、英語の文法、リーディング、スピーキング、ライティングを学ぶ、標準的な大学の英語教育が用意されています。また、外国人労働者と話したり、一緒に仕事をしたりするには、相手の国の文化を理解することも大事ですよね。ですから、そういうことを学べる人文・社会系科目も学ばなければなりません。さらに、海外研修、海外語学研修という長期休暇を利用した海外での実践科目も用意されています。

 2本目の柱は、「工学英語」という授業です。実際にエンジニアが働く現場では、ほとんどがコンピュータ上で書類をやりとりしながら進められていきます。しかも、その書類は基本的には英語で書かれています。たとえば、この製品をこうつくってください、ここに欠陥があったのでこう直してくださいといったことが、英語の文書で送られてくるんですね。ですから英会話より英語の文書が読めることの方が大事だと言えるのです。しかも、その文書はテクニカルな内容ですから、難しい文法は使われていない一方で、専門的な技術用語が使われています。そういう英文を読んで理解でき、さらには海外の人に指示を出すために、英語を書く必要もあります。逆に言えば、確実に伝わる英語を使って、きちんと読み書きができれば仕事はできるわけです。そこで本学部では、少なくとも技術的な英語が読めて、書けるようにと「工学英語」の授業を設けています。いわゆるマニュアルのための技術英語ですね。たとえば、「銅と亜鉛の合金をつくる」とか「トランスミッションに連結する」といったことが英語で書かれていた場合、それを読んで理解できる、ないし書くことができるように、学んでもらおうと思っています。この「工学英語」は、2年生の後期から3年生の前期にかけて行うコーオプ実習の期間中、学内にいる学生に実施する予定です。コーオプ実習は、学年を半分に分けて、交代で実習に行きますから、一方がコーオプ実習に出ている間、もう一方は学内にいることになります。その学内にいる8週間を利用して、集中的に工学英語を学んでもらう予定です。

工学英語教材(予定)
工学英語教材(予定)

 3本目の柱は、テクニカルな英語に慣れるため、1年生のうちから専門的な技術英語に触れる機会を持ってもらおうと考えています。具体的には、英語で書かれた教科書を使って、微分積分や線形代数などの専門科目を学んでもらうつもりです。ただし、テキストは英語ですが、授業自体は日本語で行いますし、黒板も日本語で書きます。宿題も試験も日本語です。ですから、すべてを英語で行うわけではありません。では、なぜ英語のテキストを用いるのかというと、たとえば微分方程式は英語で“Differential Equation”と言うのですが、その英単語に将来、仕事をするようになって出くわした時に、微分方程式のことだとわかる、あるいはどこかで聞いたことがあると思ってもらいたいからです。他にも数学や工学分野で「式を解け」と英語で表現するときは、簡単に“solve”を使うなど、日常の英会話ではそう聞かない英単語が使われていたりします。こうした数学や工学分野の言葉を英語でどう表現しているのかを、テキストを通して自然と身につけてもらえたらと考えているんです。大事なことは、学生の英語に対するアレルギーを取り除くというか、英語に慣れさせることです。ですから今のところ、1学年に2科目程度は、英語のテキストを使った専門科目を設けていければと思っています。

授業の様子
授業の様子

■工学部を志望する学生の中には英語が苦手な人もいると思いますが、何か対策や工夫はお考えですか?

 確かに、英語に苦手意識を持っている学生は少なくないですから、それなりに大変さはあるだろうと思います。特に教養科目の英語は、どちらかというと文学作品を取り上げて英語表現を学んだり、文法を学んだりということが中心ですから、内容としては高校までの英語の延長に近いところがあるかもしれません。一方、「工学英語」や英語テキストで学ぶ専門科目については、講義の中で技術的なことの英語表現を学んでいくので、たとえば外国製品についてくる英語のマニュアルなどが読めるようになる、読んで人に説明できるといった実用性がありますから、工学部の学生にとっては比較的、面白く感じられるのではないかと思います。また、そういう部分を活かして、英語のマニュアルを読んで、何かものづくりをしてもらおうと検討しているところでもあります。たとえば、日本の折り紙は世界中で人気があり、折り紙のつくり方の本が英語で出版されたりしています。そういうものを使って、どこかのタイミングで折り紙教室のような授業を1コマ設けて、学生に折り紙を折ってもらい、その折り方を英語で説明したり、学生同士で質問し合ったりというようなことができれば、楽しく学べるのではないかと思っています。いずれにせよ工学部の学生は、基本的にものづくりが好きですから、何かそういうところに絡めて、工学英語の学習に結びつけられたらと考えているところです。

 また、工業英語検定という資格試験もあるので、できればその2級くらいは取得してもらいたいと思っています。せっかく大学でテクニカルな英語を学ぶわけですし、資格取得が学習のモチベーションのひとつになる場合もありますから、学生にはぜひ資格取得を勧めたいですね。就職活動前に取得すれば、履歴書に書くこともできますから。

■最後に高校生・受験生へのメッセージをお願いします。
 グローバル化が進んだ今、日本国内で日本人だけがものづくりをしているという時代は、終わりました。国内でも、いろいろな外国人と一緒に仕事をする、あるいは外国へ行って、そこで日本人や外国人が一緒に仕事をするというスタイルが、当たり前の社会になっているわけです。まずは、そのことを認識として持ってほしいと思います。

 そういう世界の流れのなかで、私たちは豊かな社会の実現に貢献できる人、今の時代だけでなく5年後、10年後、100年後と、将来を見据えて、持続的に発展を続けるサステイナブル社会のために工学分野で活躍できる人を育てたいと思っています。

 また、これからの工学の主流であり、本学の工学部が追究していくと掲げる“サステイナブル工学”は、幅広い学問領域が関わる分野です。たとえば、機械工学科を卒業したからといって機械のことしかわからないというのではなく、電気や化学の知識も必要になることが、ごく当たり前に起こってきます。そのくらいの幅広い視点で工学というものを捉えて、学んでほしいと思います。