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学外の動画を教材にした反転授業の試みに、手ごたえを感じています!

2015年7月10日掲出

コンピュータサイエンス学部 岩下 志乃 准教授

昨年10月、コンピュータサイエンス学部では、国内大学で初めて「JMOOC」という学外のオンライン講座の動画を反転授業に取り入れる試みをしました。授業を担当した岩下先生に、その成果や課題などを伺いました。

■今回、コンピュータサイエンス学部で試みた反転授業とはどういうものですか?

 反転授業というのは、従来の講義のように先生から説明を聞いて理解し、自分で復習するというスタイルではなく、予習として事前に動画で講義を受け、実際の講義では動画に関する演習や説明、質疑応答を行っていくという、今、非常に注目を集めている教育方法です。なぜ注目されているのかというと、これまでのように講義をただ聞くという方法では、理解度の高い学生とそうでない学生の差がどうしても大きくなりがちでした。また講義内で理解できなかった人は、結局、自分で復習しても理解できないままということが多かったんですね。そういう学生の理解度を高める効果があるとして、反転授業が注目されているわけです。

 そうした流れを受け、昨年、コンピュータサイエンス学部(以下CS学部)では、2年次後期の「インターネット」という授業の中で反転授業を取り入れ、その動画教材として「JMOOC」という誰でも無料で著名な教授などの講義を受けられる公開オンライン講座を用いました。本来、反転授業では、その授業用に作成した動画を利用するのですが、今回は学外の既存の動画をどのくらい授業に利用できるのかという試みとして取り組んだんです。具体的には、インターネットの父と呼ばれる村井純慶応義塾大学教授の「JMOOC」での講座を動画教材として使用しました。今回のように、反転授業に「JMOOC」の講座を教材としたケースは、国内大学でも初の試みです。


反転学習(Flipped Learning)への期待

■授業用の動画ではなく学外の動画を利用したとのことですが、どのように進めたのでしょうか?

 CS学部のカリキュラムに沿った授業内容に対して、「JMOOC」の動画をどう導入していくかということを考えるところから始まりました。まず、本学部の授業と村井教授の動画講座では、扱う範囲が微妙に違ったんですね。ですから動画のどの部分が授業で使えるのか、すべて確認していきました。CS学部の授業も村井教授の講座も、どちらもインターネットを扱ったものですが、CS学部の授業はどちらかというと技術寄りの話など、インターネットの基礎部分を扱うのに対して、村井教授の講座はインターネット全般を扱う概論的な内容だったので、授業内容とマッチングするところを探すのは苦労しましたね。

 結局、全15回あるCS学部の講義「インターネット」の内5回で、反転授業を取り入れ、動画を使うことにしました。方法としては、事前に学生に予習として動画を見てくるように指示し、一応、課題も2つ出すようにしました。課題のひとつは、「○○について村井教授は何と説明していたか」というもので、動画さえ見れば答えられるものです。もうひとつは、「△△についてインターネットを使って調べて記述しなさい」という課題です。課題自体はそれほど難しくありませんし、動画も5~10分と短いですから、学生のモチベーションが下がるような負担にはならなかったと思います。


反転学習(授業風景)

■学生の反応はいかがでしたか? また、先生ご自身は手ごたえを感じましたか?

 学生にアンケートを取った結果、7割くらいは反転授業が良かったと答えてくれています。普段はしない予習をしたことで、予習という習慣が身についたという意見や、予習によってキーワードが頭に入っているので、授業中にそのキーワードが出てくることで授業が楽しく感じたという意見がありました。それだけ予習が役立つという経験ができたということだと思います。また、動画で説明を聞いたものを、さらに講義で30分ほどかけて私の方で説明しますから、それで興味を持てたという感想も多々ありました。中には動画を見て、わらからなかった単語を自分でさらに調べたとか、動画を何回も見たという積極的な学生もいましたね。

 一方、ネガティブな意見としては、今回利用した「JMOOC」の動画が大学生用ではなく、一般向けの講座の動画だったため、専門用語がたくさん出てくるなど、難しく感じるところもあったようです。また、動画を見てきてもらうために出している課題ですが、学生の中には、動画の横にある字幕をコピーペーストしてくるような人もいたので、学習の広がり方には個人差があるのだと感じました。


反転学習に対するアンケート結果

■今後の課題としては、どういうことが考えられますか?

 ひとつは、反転授業の進め方です。昨年は、予習として動画を見て、課題をしてきてもらい、それを講義内で学生に発表してもらうという形をとったんです。ところが、学生は発表が苦手なようで、なかなかうまくいきませんでした。この講義は200名と大人数が受講していますから、どのように進めるのが効果的なのか、まだまだ改善の余地があると実感しています。今年度は、他大学で反転授業を研究対象にしている研究者の方たちのアドバイスを頂きながら、良い方法を模索しようと考えているところです。 それから、CS学部の講義「インターネット」は毎年あるものですから、出す課題をどう前年度とは違う形にするかという点も課題です。課題を変えたいとは思いますが、使用する動画自体が短いので、重要なところをピックアップして課題にすると、どうしても前年度と同じになってしまいます。ですから毎年、連続して同じ動画教材を使った授業を行う場合、どう工夫すれば良いのかということも考えていかなければなりません。また、先ほどは7割の学生から支持が得られたと言いましたが、今回の反転授業が実際に学生の理解度を高めたかどうかという部分については評価できていません。ですから学生の理解度がどのように変化したのかを測るテストなども考えていく必要があります。

 あとは私が担当する他の授業で、何か自分で動画教材をつくって、反転授業に取り組んでみたいと思っています。今回のように既存の動画を教材として使うのは、自作の教材を使用する場合とは、かなり違うものだと思いますから、また違った知見が得られるのではないかと期待しています。CS学部では、すでにプログラミングの授業などで、動画教材を使用した反転授業が実施されていますから、私の方でも反転授業の効果が得られそうな科目の中で導入してみたいと思っています。

■コンピュータサイエンス学部WEB
http://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html

・次回は8月14日に配信予定です。