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意欲ある学生がポテンシャルを発揮できる環境を整えて、ワールドワイドなチャレンジを後押しします!

2021年7月8日掲出

コンピュータサイエンス学部 人工知能専攻 田胡和哉 教授

コンピュータサイエンス学部 人工知能専攻 田胡和哉 教授

東京工科大学は、革新的かつ実践的な教育活動の一環として、今年4月から各学部・学環における「戦略的教育プログラム」(第二期目)を開始しています。今回は、コンピュータサイエンス学部が進めているプログラムについて、田胡先生にお聞きしました。

■先生が中心となって進めているコンピュータサイエンス学部の戦略的教育プログラムについてお聞かせください。

 「産学連携クラウド学修を通じた新しい実学教育プログラム」として、コンピュータサイエンス学部(以下CS学部)の生野教授、串田教授、森本准教授、細野准教授、井上准教授と実施しています。概要を簡単に話すと、意欲の高い学生に必要な環境を提供して、飛躍してもらおうという主旨で進めています。CS学部は、昨年、人工知能専攻と先進情報専攻の2専攻体制となり、本学部の全学生を対象にした学修環境はかなり整いました。今度は、その次のステップとして、特に意欲の高い学生を対象に、色々な挑戦を存分にしてもらおうという狙いです。もう少し踏み込んで言うと、学生がスタートアップに挑戦したい、あるいはオープンソースソフトウェアを開発してみたい、AIのプログラムやロボットを動かしたいなど、何かに挑戦したいと思ったとき、環境の壁によってできないという状況だけは避けたいのです。
 たとえば、学生が何かサービスのアイデアを思いついて、それを提供するとなった場合、実際にモノをつくって、コンピュータを動かし続け、そのサービスを学外に提供し続けることになります。しかし、それを個人的な負担で行い続けることは、当然、難しいです。そこで学生が希望すれば、サービスを提供するために24時間いつでも使えるコンピュータを提供するといった環境面で支援をしようと考えています。あるいは、AIで何かしようと思ってコンピュータに機械学習をさせるには、何日も必要です。その間、機械学習ができる少し特殊なコンピュータをずっと占有することは、研究室に所属している学生ならともかく、まだそこに属していない1~2年生が気軽にはできません。かといって、自分のコンピュータを何日も占有されては、他の勉強ができなくなります。ですから、開発に必要なコンピュータを提供するなど、学生が何かしたいと思ったとき、すぐに着手できる環境を整えておくことが重要なのです。

 また、「ハッカソン」など、特定のテーマに対して期間内にアプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合うイベントを共催したり、学外のイベントをウェブサイトで紹介したりして、学生にチャレンジを促すこともしていきます。特にマイクロソフトやGAFAと呼ばれる大きなIT企業は、どこも世界の学生を対象にしたイベントの開催に力を入れています。日本でも、IPA(情報処理推進機構)という経済産業省の外郭団体が、突出したIT人材の発掘と育成を目的に「未踏」というチャレンジプログラムを行っています。ですからやる気さえあれば、チャンスはあちこちに転がっているのです。CS学部としては、何とかそこにうまく梯子をかけて、学生がそういうプログラムに応募することを促したいと思っています。
 たとえば、Googleでは、毎年、「Google Summer of Code」というイベントを開催していて、年始に「こういうプログラミングをしない?」と全世界の学生に募集をかけます。世界の学生たちはアイデアを応募し、審査を通過するとGoogleが指導者をつけてくれて、夏休みの間に宣言したものを作成してオープンソースにするという課題に取り組みます。もし、それに成功すれば、かなりの賞金がもらえるので、世界中の学生が喜んでチャレンジしています。実は私の研究室だけでも、過去に5件がこの審査に通り、それぞれ賞金を手にした実績があります。また、私の研究室の卒業生で「Google Summer of Code」の出題者になっている人もいますよ。
 同時に、そういう環境づくりを産学連携で取り組むことにより、就職の質を一層、高めたいという狙いもあります。今も本学部は非常に就職の質が上がってきていますが、さらに多くの学生がトップ企業に数多く入れる状態をつくり出したいと考えています。それに向けての準備をしているところです。

■産学連携で共に取り組む企業について教えてください。

 CS学部は、昨年度から日本マイクロソフト社と連携協定を結んでいて、今、お話ししたような環境を一緒に整えていこうと取り組んでいます。その一環で同社のクラウドサービスを本学部の学習環境に提供いただくだけでなく、こちらでつくった教育コンテンツをそこにのせたり、スタートアップなどに挑戦する学生の発表の場を提供いただいたりと、複合的な関係を構築しようと進めています。
 また、ニュービジネス協議会など、色々な団体との連携も実施していますし、今まで培ってきた人材育成のノウハウと技術的なプロジェクトとを合わせたNPOのようなものをつくって、社会全体から使えるようにするといった試みも始めています。

■今回の戦略的教育プログラムは、具体的にどのように進めていく予定ですか?

 “指導者付きサークル”のイメージで進めています。学生数名が集まって、具体的に挑戦したいことを申告すれば、学部でその内容を審査し、支援に適しているとなればクラウドなどの開発環境を提供するほか、その分野を専門とする人に、時々、遠隔でご指導いただきます。最初は、産業界で活躍する現役のプログラマーなどにお願いすることを考えていますが、将来、学生が成長すれば、先輩が後輩を指導する形に移行し、永続的に活動を続けることを可能にします。これを、エコシステムと言ったりします。
 また、このプログラムで学生たちが形にしたサービスやビジネスアイデアは、最終的に学外へ発信していきます。その方法は、大きく3種類あります。ひとつは、スタートアップなど、ビジネスを成功させること。もうひとつは、オープンソース、つまり自分たちで作成したプログラムを公開して、誰でも自由に使えるようにすることです。これは非常に重要なアウトプットだと思っています。というのも、オープンソースは無料で公開するため、ビジネス的な成果とは異なりますが、マーケティング的な視点、つまり世の中のニーズがどの辺にあって、どんなものをつくったら使ってもらえるかを考えつつ、ソフトウェアを開発していくという貴重な経験ができるのです。実際、公開したサービスを外部の誰かに使ってもらい、フィードバックを得ながら改良するというプロセスをとらなければ、意味のあるオープンソースにはなりません。ですからそれも一種の社会との対話になると思っています。なおかつビジネス的な要素がない分、技術に重点を置いた活動ができるのです。そういう実社会の中のプレーヤーになるということを、ぜひCS学部で実現したいと思っています。それから3つめのアウトプットが、学会などでの研究発表です。
 これら3つのアウトプットのうち、アイデアの質によって適したものを選択して発信していきます。もちろん、複合的な形での発信も考えられます。以前、オープンソースを開発して世界に公開した学生は、海外の人に使った感想をフィードバックしてもらい、その結果を分析して学会発表をし、奨励賞をもらいました。そういう体験は、学生にとって大きな自信になります。

■現在、プログラムはどの程度進んでいますか? また、今後の展望をお聞かせください。

 ITの開発や取り組みではありますが、サークル的な活動として物理的な拠点があった方が良いと考えています。ロボットやサーバなどがたくさんあって、そこに行くと仲間がいるという環境です。そこへ時々、先生が来て、教えるという「場」が、かなり重要だと思います。ですから拠点をつくることから着手しようと思っていたのですが、コロナ禍の影響で物理的に人が集まることが難しくなっていたため、進行は少し遅れています。とはいえ、ほどなく学生に対して、チャレンジ募集の告知をします。今は、そのためのウェブサイトなどを制作しているところです。そこで、ビジネスをしたい人、人工知能でロボットを動かしてみたい人、インフラなどインターネットサービスを提供する部分でオープンソースをつくってみたい人など、具体的なプロジェクト例を提示して募集をかけ、後期から本格的に始動させようと思っています。また、これからアウトプットを積み重ねていき、将来的にはその成果を競い合うようなイベントを本学主催で開催できないかと考えています。

 大きな展望としては、やはり好奇心のある学生のチャレンジ精神やポテンシャルをできる限り発揮できる環境を整えて、世界に向けて発信することで飛躍できるようにするということに変わりありません。実際、オープンソースソフトウェアは、英語で発信するように指導しています。
 これまでにも、本学部にはビジネスに強い関心を持つ学生や、オープンソースなどの開発に長けた学生は多々いました。また、研究室に所属する3年生まで待ちきれない、今すぐしたいことがあるという学生も当然いますし、その流れは今後、ますます加速するだろうと予想できます。なぜなら、プログラミング教育が小学・中学・高校で始まっているからです。一部とはいえ、子供の頃からプログラミングに興味を持って、色々つくってきたという人が必ず出てきます。そういう人たちが大学に入学したときに、基礎の授業ばかりで、思っていたことができないと心が折れ、辞めてしまうことになれば、それはあまりにももったいない。ですから何か自分でつくりたい、アイデアを形にしたいという学生のモチベーションを保ったまま、カリキュラムとしての基礎的な科目も同時に勉強できる教育環境を整えることが必要です。大学の教育は、あらかじめ決められたカリキュラムに基づくだけでなく、そこから先、自分でものを考えて発信するという部分がないと不十分だと、我々は考えていますから。
 さらに、このプログラムにより活躍する学生が出てくることで、他の学生も触発されて何かやってみようと挑戦したり、先輩の経験を後輩が聞くことで「自分にもできるかも?」とチャレンジしたりすることを期待しています。また、技術だけでなく、社会とも積極的に関われるようにしていきます。そういう風土をこのプログラムの期間である4年をかけて培っていきたいです。

■最後に受験生・高校生へのメッセージをお願いします。

 世の中は、変化しています。特にITの世界は急速に変わっているので、うまくチャンスを掴むことができれば、世界に羽ばたくことができます。ITの世界では、国内だけでなく海外に向けても発信することができますし、それほど大きくない規模のソフトウェアでも、面白いものや便利なものを発信できれば、国内外の人に喜んでもらえます。また、ITの世界で羽ばたくには、高校までの勉強ができるということとは少し違った要素が必要になります。従来の学びと何が違うのか、どうしたら羽ばたけるのか、CS学部の教員がしっかり指南しますので、ぜひ本学部で世界に向けてチャレンジしてください。私たちは、人的にも物質的にも環境を整えて、精一杯の支援を惜しみなく行います!

■コンピュータサイエンス部WEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html