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機械工学で重要な“ものづくり”を実践的に経験することで、幅広い知識と視野を養おう。

2014年11月14日掲出

工学部 機械工学科 松尾 芳樹 教授

工学部 機械工学科 松尾芳樹 教授

自動車やロボット、精密機器や産業用機器に医療用機器と、幅広い領域に関わる機械工学。2015年度からは東京工科大学にも、その機械工学の分野を専門的に学ぶ工学部機械工学科が誕生します。そこで今回は学科長の松尾先生に、学科や学びの特徴について伺いました。

■来年度から始まる工学部機械工学科の特徴についてお聞かせください。

 本学の機械工学科の学びは、伝統的な機械工学と、そこから広がる関連・応用分野を軸に構成されています。伝統的な機械工学というのは、材料、機構、運動、エネルギー、流体、設計、加工、生産などを対象とした領域のことで、いずれも機械をつくったり、工場で工業製品をつくったりするうえで必要になる基本原理になります。さらに最近の機械工学では、そこへ応用分野がプラスされてきています。たとえば、ロボット、情報、システム、ナノ、バイオ、医療福祉、生活、農業、宇宙海洋、環境、安全など、機械そのものが関わる分野やICTとの組み合わせで考えられる分野など、学ぶ対象が非常に広がってきているんです。ですから本学科では、伝統的な機械工学に加えて、それらの技術や知識をどう使っていくのかという応用も学んでいけるカリキュラム設計になっています。

学びの領域

 また、科目構成は、数学や物理などの基礎、材料力学・流体力学・熱力学・機械力学などの機械工学に関する科目、実験演習、コーオプ教育、サステイナブル教育という5本の柱で構成しています。このうち、コーオプ教育とサステイナブル教育に関しては、工学部共通の科目ですが、サステイナブル教育には機械工学科独自の科目も用意しています。

サステイナブルとは…

■機械工学科独自のサステイナブル工学科目というのは、どういう内容なのでしょうか?

 まず、工学部が追究していくものとして掲げているのは、人の生活も地球環境も社会的な繁栄や発展もバランスよく持続できる社会(サステイナブル社会)を実現するために、工学の立場から貢献しようということなんです。そのような技術や理論は“サステイナブル工学”とよばれています。そのイメージを端的に表現すると、「つくる」「使う」「(リサイクルして)戻す」を循環させることだと言えます。そして、その循環の中で、機械工学分野が最も貢献できるのが、「つくる」と「戻す」のところです。

 そういうことを具体的に学んでもらえるよう、本学科では「サステイナブル機械設計」と「サステイナブル生産技術」という授業を設けています。「サステイナブル機械設計」は、3年前期の科目で、具体的な設計や製図を取り上げながら、持続して発展する社会の実現に貢献する機械設計に欠かせない設計工学の概念や技術を学んでいきます。たとえば、設計工学の基礎に加えて、機械製品レベルでの省資源・省エネ技術、ライフサイクルを考慮した機械設計などを扱う予定です。また、3年後期の「サステイナブル生産技術」では、工場製品のサステイナブルな生産・製造を実現するために必要な生産工学の概念や技術を、実例を取り上げながら学びます。ここでも生産工学の基礎や生産システムにおける省資源・省エネ技術などを扱います。これらの科目を通じて、「つくる」と「戻す」に関する基本的な技術や重要な概念を学んでいくわけです。

■カリキュラムの中で、特筆すべき点はありますか?

 機械工学科のカリキュラムの中で特徴的なのは、1年前期の「機械創造基礎」と3年後期の「機械創造応用」という実習科目ですね。これは機械工学科のいわゆる“ものづくり”教育の授業になります。これまで多くの大学では、機械工学の“ものづくり”を経験するために、事前に設計や解析などを個別に学んでいたのですが、そうしたひとつひとつの技術や知識を学んで積み上げていく形では、実際にものづくりをするための時間が足りなくなってしまうんですね。あるいは、そういうものを積み上げている段階で、学生が興味を失ってしまうことも少なくありません。そこで本学科では、1年前期という早い段階で、学生が機械工学における“ものづくり”のイメージを持てるように、あるいは自分がどんなところに興味を持っているのかを確認してもらうために、「機械創造基礎」という演習で、ごく簡単な課題で創造から製作までを経験してもらう予定です。

 たとえば、古くから有名な課題としてある、紙だけで重さを支える橋や椅子をつくる。あるいは、できるだけ遠くまで飛ぶ紙飛行機をつくるというように、紙とハサミやカッターナイフくらいの道具で簡単につくることができ、結果がすぐにわかる、なおかつ工学的なことをきちんと考えなければ、よいものができないというテーマを与えて、少人数グループでディスカッションしながら製作していく経験をしてもらいます。そこでは数式を使った計算もしますし、最低限の強度を得るには、どういう構造がよいかということも学びながら進めていきます。

 この授業で重要なことは、とにかくトライ&エラーで、失敗するかもしれないけど、つくってみる経験をすることです。最初は誰かの真似でも構いません。ウェブで探してきて、橋にはこんな形のものがあるようだと、それを真似てつくっても構わないのです。それでも、その形は紙の橋にも適しているのか、紙でつくるにはどうすればよいかを考えますからね。このように「機械創造基礎」では、“ものづくり”の入門的なことを経験してもらいます。

 一方、3年後期の「機械創造応用」では、それまでに受けた様々な講義や実験実習で得た知識と経験を活用して、本格的な“ものづくり”に挑戦してもらいます。これは研究室に所属した後ですから、研究室単位で何をつくるかというテーマを決めてもらうことになりそうですが、まだ具体的には決まっていません。ちなみに、これまで別の学科の私の授業では、毎年NHKの「大学ロボコン」にエントリーしてきたので、私の研究室ではそれを「機械創造応用」のテーマにしても面白いかなと考えています。実際に大学ロボコン用のロボットを一から企画・製作するので、学生はマイコンでモータを動かして実験したり、3DCADで設計したり、機械工作をしたりといった本格的な開発過程を経験でき、テーマとしては最適かと思っています。

 また、学科の特徴というよりは、工学部のセールスポイントであり、新しい試みになるのですが、3年後期に機械工学科、電気電子工学科、応用化学科の3学科合同で「サステイナブル工学プロジェクト演習」を実施します。

大学ロボコン挑戦
大学ロボコン挑戦(ロボコン制作の様子)

■3学科合同の演習には、どういう狙いがあるのですか?

 ひとつの分野の理解だけでは、持続して発展する社会の実現につながらないということを体験として知り、総合的にバランスよく捉えられる視点を養ってもらうことが狙いです。結局、人の生活も地球環境も社会的な繁栄・発展もうまく持続して発展する社会(サステイナブル社会)を実現しようと考えた場合、学問分野で境界をつくっていてはだめで、もっと広い視野で物事を捉えられなければなりません。
 たとえば機械工学の分野だけで、環境負荷のない、すばらしい技術ができたとしても、それ以外の廃棄する段階で環境汚染があったり、コストが高くつき過ぎたりするものなら、それはサステイナブルな技術だとは言えませんよね。つまり持続して発展する社会は、ひとつの分野だけでは成立しないのです。ですから、工学の立場でその実現に貢献しようと思ったら、機械工学科の学生であっても機械以外のことをある程度わかっていて、全体を俯瞰できなければなりません。その力を身につけるために、学部共通の「サステイナブル工学プロジェクト演習」では、3学科の学生混成のグループをつくり、たとえば100円ショップのひとつの商品を取り上げ、その材料から製造過程、リサイクル処理に至るまで、すべてを調べて、持続して発展する社会をつくるための技術になっているかどうかを検討し、自分たちなりの提案を考えることに取り組んでもらおうと思っているのです。

伊豆大島火山観測用陸上移動基地ロボット第1次試作機
伊豆大島火山観測用陸上移動基地ロボット第1次試作機

■機械工学科で扱う研究についても、お聞かせください。

 この学科には、10の研究室があります。そのうち、特に機械工学分野として、わかりやすい研究を挙げると、福島E.文彦先生の「陸海空移動ロボティクス研究室」。火山観測ロボットや水中移動ロボットなど、移動ロボットや探査ロボットをメインに研究されています。

 また、持続して発展する社会をつくるための工学(サステイナブル工学)としてイメージしやすい研究例では、大久保友雅先生の「光・エネルギー研究室」があります。この研究室では、太陽光エネルギーを集めてレーザーをつくるという研究に取り組んでおられます。

 それから古井光明先生の「材料グリーンプロセス研究室」では、金属材料の研究をされています。たとえば、船や飛行機などのボディが軽くなれば、エネルギーロスが減るように、機械を考えるうえで、材料は非常に重要なものです。材料を変えることは、性能を変えることに直結していますからね。そういう視点で、古井先生の研究室では、非常に軽い合金をつくる研究などに取り組み、エネルギー消費やリサイクルの面でサステイナビリティを高めようと研究されています。

■最後に、どのような人に機械工学科へ入学してほしいとお考えですか?

 新しいことに挑戦したいと思っている人に、入学してもらいたいと思っています。何でもやってみようと、行動できる人というのでしょうか。というのも機械工学の場合、いくら理屈を言っていても、つくってみないことには始まらないからです。ですから、とにかくやってみようという姿勢で、手を動かすことが好きな人に向いている分野だと思います。

 また、先ほど話したように、これから技術や工学で持続して発展する社会の実現に貢献するということは、自分の専門分野を掘り下げていくだけでは不十分です。つまり、色々なことに興味や関心を持って、視野を広げることが重要になってくるのです。ですから、本学科で基礎から応用へと段階を踏みながら学んでいく中で、広い視野で、物事を全体として見ることができる力を養ってほしいと思います。

・次回は12月12日に配信予定です。