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プレスリリース

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がんを簡単に調べられる新しいメチル化DNAの測定法を開発

2016年7月25日掲出

東京工科大学(東京都八王子市片倉町、学長:軽部征夫)応用生物学部の吉田亘助教、軽部征夫教授らの研究グループ(※1)は、がんなどのバイオマーカーとして期待されるメチル化DNAを簡便に測定できる方法の開発に成功しました(※2)。
本研究成果は、2016年6月28日に科学誌「Analytical Chemistry」オンライン版に掲載されました(※3)。

【背景】
ヒトゲノム中の塩基シトシン(※4)のメチル化は、遺伝子の発現を制御する「遺伝子スイッチ」としての働きを持っており、がん細胞ではこの遺伝子スイッチが異常になっていることが確認されています。
このスイッチの異常、すなわちがん関連遺伝子のメチル化頻度は、がんのバイオマーカーとして期待されています。本研究では、従来は煩雑な操作が必要であったDNAメチル化頻度の測定を簡便に行える方法を開発することを目的としました。

【成果】
通常、DNAは二重らせん構造を形成しますが、特定の配列を持つDNAは四重鎖構造を形成します。本研究では、四重鎖DNAがメチル化されると、それをPCRで増幅させた場合、PCR増幅効率が減少することを発見しました。実際にヒトゲノムを対象とし、がん関連遺伝子であるVEGF-A(※5)中の四重鎖領域の増幅効率を、リアルタイムPCR法(※6)により測定した結果、メチル化頻度に依存して減少することがわかりました。すなわち、この方法で標的がん関連遺伝子のメチル化頻度を簡便に測定できます(図1)。


図1:本研究で開発したメチル化DNA検出方法
標的遺伝子のメチル化頻度に依存してPCR増幅効率が変わるため、
検体を試薬に混合してリアルタイムPCRを行うだけでメチル化頻度を測定できます。

【社会的・学術的なポイント】
従来よりも簡便にがん関連遺伝子のメチル化頻度を測定できるため、がんの簡易診断への応用が期待されます。また、DNAメチル化の異常はがんだけでなく生活習慣病やうつ病の発症にも関連しているため、それら疾患の簡易診断への応用も期待されます。

(※1)東京農工大学大学院池袋一典教授、同長澤和夫教授、埼玉大学大学院飯田圭介博士、Umm Al-Qura University(サウジアラビア)との共同研究。
(※2)本研究は日本学術振興会(JSPS)科研費15K18278の助成を受けています。
(※3)論文名「Detection of DNA Methylation of G-Quadruplex and i-Motif-Forming Sequences by Measuring the Initial Elongation Efficiency of Polymerase Chain Reaction」, DOI:10.1021/acs.analchem.6b00982
(※4)シトシン:DNAを構成する4種類(アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C))の塩基の1つであり、主にCG配列中のCがメチル化されます。
(※5)VEGF-A(Vascular Endothelial Growth Factor A):血管内皮細胞増殖因子をコードする遺伝子であり、血管新生に関連しています。
(※6)リアルタイムPCR法:ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)によって、特定のDNA断片を増幅し、リアルタイムにDNA量を測定する方法。

■東京工科大学応用生物学部
軽部征夫・吉田亘研究室(生命機能応用)
生体分子の優れた機能を利用し、疾患マーカーなどを検出する方法の開発や、ゲノムの解析、新たな生体機能の応用研究を行っている。
[主な研究テーマ]
 1.有機物分解微生物の探索
 2.微生物を用いた電気化学測定法の構築
 3.メチル化DNA検出法の開発
 4.DNA四重鎖構造の機能解析
 5.生物変換法の開発
 6. バイオマスエネルギーの開発

【研究内容に関しての報道機関からのお問い合わせ先】
東京工科大学 応用生物学部 助教 吉田亘
Tel 042-637-4517(研究室直通)
E-mail yoshidawtr(at)stf.teu.ac.jp
※(at)はアットマークに置き換えてください。