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[2011年度]第2回「八王子市とのコラボレーション「バイオマス自動車」始動!大学として、未来のエネルギーを考える。」

バイオマスエネルギー走行実験車

皆さん、こんにちは。今回は、本学と八王子市が協力し、5年間の研究・開発を経て、ついにお披露目となった「バイオマス自動車」について紹介します。

昨年度もメルマガで紹介しました、「バイオマス燃料」を使ったゴミ収集車ですが、今年5月に、八王子市長を招き、記者発表&試運転を行いました。当日は、本学の八王子キャンパス内をバイオマス自動車が走りました。

「バイオマス」とは、植物資源のことです。まず、その仕組を説明します。

ガソリンにアルコールを添加することがアメリカやブラジルで行われています。植物の組織を支える物質として「セルロース」と「リグニン」が知られています。このセルロースを分解するとグルコースができますが、このグルコースは微生物の栄養となるので、アルコールが作られます。そうすると、使われなかった大量のリグニンが廃棄物となるので、この処理が大変です。これは、お酒づくりの原理と同じです。

本学では、植物を蒸し焼きにし、ガスにして、廃棄物の出ないガソリンを合成しています。八王子市全体から出る剪定した枝葉ゴミ1日あたり6トンをこの方法でガス化すると、 ゴミ収集車200台を走らせることができるのです。
このような取り組みを5年続け、今回やっと1台の収集車を動かせるガソリンが生成できるようになったので、晴れて公式発表となりました。

まだ、大量につくることはできないので、実用化まであと5年はかかると思いますが、今後、多くの企業に参加していただき、実用化に向けて努力していきたいと思っています。

その他、地球にやさしいエネルギーといえば、まず、「太陽光発電」。一般家庭でも普及し始めていますが、実は、宇宙で発電することが一番理想的なのです。宇宙では曇ることはないので、多くの太陽光を集めることができます。しかし、宇宙に発電システムを打ち上げなければならず、莫大な費用がかかりますから、実現は難しいですね。

現在の日本では、風、地熱、太陽光、波の力、バイオマスなど全部あわせても、10%の電力しか作れません。90%は、化石燃料か原子力に頼らざるを得ないのが現状です。新しいエネルギー開発が、これからの日本の課題と言って良いでしょうね。

新しいエネルギーの開発で、大学としてできることは多いと思うので、本学でもさらに大きな成果が出せるよう取り組んでいきます。

2011年6月10日掲出