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新しいメディア学部で確かな基礎力と専門技術を身につけ、幅広いメディアに対応できる人になろう!

2014年5月9日掲出

メディア学部 相川清明 教授

メディア学部 相川清明 教授

来年度より新しいカリキュラムとなり、新体制が始まるメディア学部。どのような点が新しくなり、教育体制はどう変わるのか。学部長である相川先生に、ご自身の研究の話と併せて伺いました。

■2015年4月からメディア学部が新カリキュラムでスタートするそうですが、具体的にどのような内容になるのでしょうか?

「新3コースと関連メディア分野」中央の3コース共通の基礎を重視
「新3コースと関連メディア分野」
中央の3コース共通の基礎を重視

 新しくなる点で言えば、メディア学部は来年度、今の4コース制から3コース制になり、より基礎力を重視する教育体制になります。これは基礎を扱う授業の数を増やすというのではなく、授業内で扱う基礎の割合を増やすことで、技術だけでなく理論や原理まで理解し、その先にある多様な専門分野の学びにつなげていこうというものです。

  そもそもメディア学部が扱うメディアの範囲は非常に広く、ある分野を学ぶと、それに関連する分野も含めて学べるという特長があります。具体的なメディアの対象としては、アニメ、CG、AR(拡張現実)、ゲーム、スマートフォン、アプリケーション、音声対話、情報検索、SNS、ウェブデザイン、ネットワークビジネス、e-ラーニング、広告、電子教材、放送などの映像、音楽と、ものすごくたくさんあるわけです。しかし、興味のあることは、必ずしもこの中のどれかひとつとは限りません。たとえばゲームをつくりたくて、でも少しCGも学んでみたくて、アニメにも関わりたいという学生もいます。そういう要望に応え、どのメディアの分野も広く学ぶことができるのが、メディア学部のひとつの特長なのです。

  一方、こうした幅広い学びで大事になってくるのが、どの分野にも共通する基礎です。本学部では、1、2年生の段階で、コンテンツやアプリケーションの開発、あるいはそれを使って人々を結びつけたり、教育したりするのに必要なことを学びながら、コンピュータを扱う技術やプログラミング技術、統計調査して分析する方法など、ICTと呼ばれる情報通信技術の基礎を養える教育を実施しています。ですからプログラミングそのものを目的とした勉強ではなく、きれいな映像や音楽をつくるとか、ゲームでキャラクターを思い通りに動かすといったことのためにプログラミングが必要だから、その技術を学ぶという順序で、学生は興味あることを学ぶうちに、自ずとICTの基礎が身につけられるという体制になっているのです。来年度からは、こうした授業内で扱う基礎の割合と質を今まで以上に向上させることで、より一層、基礎に重点を置く形をとろうと考えています。

「ゲーミフィケーション」ゲームで数学の勉強。ゲームの新しい応用です。
「ゲーミフィケーション」
ゲームで数学の勉強。ゲームの新しい応用です。

 その後は、培った基礎を踏まえて、2年生の後期に「メディアコンテンツコース」「メディア技術コース」「メディア社会コース」の3コースの中から2コースを選び、3年生の夏休み前には、最終的な専門として1コースを選択、つまり卒業研究室を選ぶという流れになります。3つのコースについて説明すると、「メディアコンテンツコース」では、音楽、映像、ゲーム、アニメなどのコンテンツ制作に重点を置いて学びます。「メディア技術コース」は、メディアの基礎技術をさらに深め、コンピュータを使ってより便利で快適で豊かな生活を実現するためのアプリケーション、音声対話、ゲーム入出力デバイスなど、社会に役立つものの開発に力を入れて学ぶコースです。また、「メディア社会コース」は、さまざまなネットワークやプログラム、コンピュータを使って、いかにしてうまく人と社会を結びつけるか、教育やSNSやビジネスなどを含め、情報をいかに人に伝えるかといった社会や文化とメディアの接点を専門的に学ぶコースになります。

 いずれのコースに進んでも、学生には1、2年生でしっかり身につけた共通の基礎力があるので、もし他分野のことをしたいと思ったら、すぐに始められる状態になっています。たとえば、ある学生がコンピュータを使って映像をつくりたいと思ったとして、それをつくる前に映像アーカイブの情報検索ができるものが必要だと思ったならば、コンピュータの基礎知識を活かして、すぐにそれをつくることができるというわけです。

■今回のカリキュラムの見直しには、どのような背景があるのでしょうか?

 現在就職では、積極性やコミュニケーション力、自主的な行動などが重視されてきています。さらに、産業界が求めているのは、末端の技術ではなく、いろいろな問題に遭遇したときに、それに対応できる適応力だと言えます。それを養うには、基礎を充実させるしかないということで、今回、基礎に重きを置いたカリキュラム編成とコース体制にしたのです。また、できるだけ少人数で、より充実した教育が受けられるようコース内容を集約し、共通する基礎をしっかりマスターできるようにすることで、いろいろな分野に応用の効く人を育てたいという狙いもあります。積極性やコミュニケーション力養成のため、具体的なプロジェクトを通して実践的に学ぶPBL(Project Based Learning)や アクティブラーニングなど、能動的な学びはさらに重視していきます。

■2015年度からは入試制度も変わるそうですが。

 来年度からは3教科入試になります。今までは、国語・英語・数学・社会(世界史・日本史から1科目)の中から2教科を選択して受験することになっていましたが、来年度はそこに理科(物理・化学・生物から1科目)が加わり、5教科の中から3教科を選択して受験する形になります。組み合わせは自由ですから、たとえば理系の人は理科、数学、英語、文系の人は社会、国語、英語で受験することも可能です。また、受験生のみなさんは、2教科受験と3教科受験では、3教科の方が勉強するのが大変だと思うようですが、1科目の平均点より2科目の平均点の方が安定しているのと同様に、2教科より3教科の方がより安定して平均点をとることができます。ですから試験の山がはずれたり、自分の苦手な問題が出たりという危険性を、教科数を増やすことで減らすことができるとも考えられ、受験生にとっては、有利になるのではないかと思います。
それからメディア学部の場合、入学者の約30%が、高校時代に文系コースにいた人たちです。そういう文系の学生でも、本学部なら基礎からコンピュータの知識を身につけられ、情報産業への就職が可能ですから、ぜひ挑戦してほしいと思っています。

■では、先生のご研究についてお聞かせください。


「図柄パターン検索システム」音声入力で左側に候補が表示され、選んで右のキャンバスに配置します。
「図柄パターン検索システム」
音声入力で左側に候補が表示され、選んで右のキャンバスに配置します。

 私の研究室では、音と音声の研究をしています。そもそもメディアとは情報を伝えるものですが、正確に言えば人が情報を発信し、受け手がそれを理解したときに初めてそれは情報になると言えます。メディア学部は、そういう考え方に基づいているので、研究の範囲も単なるICTだけでなく、人間の感覚に関わるものがすごく多いです。私の研究もその分野のひとつになります。

 研究室では、「音と音声によるインタラクション」というテーマで研究を進めています。たとえば2年前に学生が卒業研究として取り組んだものに、音声で図柄パターンを検索する「図柄パターン検索システム」があります。図柄パターンを検索するとき、みなさんはどんな方法を考えますか? 図柄パターンは言葉で表しようがないから大変ですよね。最近は、「Siri」などスマートフォンやタブレットでも音声検索ができるようになっていますが、あの検索方法は基本的にはGoogleでテキストを入力して検索するのと同じで、辞書と呼ばれる予め登録されている言葉と音が一致するものを見つけてきて認識しています。ですから言葉で表現できることを言わないと検索できないのです。そうなると図柄パターンなど、言葉にならないものを検索する場合はどうすればよいのでしょう? という疑問から、この研究は始まりました。

「ベクトル空間法で図柄パターン検索」クエリが検索要求。矢印が近いパターンが選ばれます。
「ベクトル空間法で図柄パターン検索」
クエリが検索要求。矢印が近いパターンが選ばれます。

 図柄を音声で検索するとき、たとえば「るんるん」とか「ぐにゃーん」といったイメージっぽい擬態語や擬音語で、それにふさわしい図柄が検索できたら便利ですよね。ただ、擬態語や擬音語をコンピュータは理解できません。そこで未知語処理やベクトル空間法という技術を使って、「ふわふわ」とか「しゃきーん」といった言葉を、明るさ、軽さ、あたたかさ、複雑さなど多数の項目で数値化して表現し、入力された音声に近い数値の組み合わせを持つ言葉から図柄パターンを検索してくるというシステムを開発しました。

 また、未知語処理をしても入力した音声に近い言葉を検索できない場合があるため、さらに急激な音の変化があるなどの音の特徴そのものを使って認識するという要素を付け加える研究も行いました。こうした研究を昨年の卒研生がさらに進め、LINEのスタンプを「しぃー」とか「しょぼーん」といった音声で検索・表示するという研究に取り組み、学会で発表するという成果も上げています。

 その他の卒業研究では、シンセサイザーの音色を音声でコントロールするという研究もあります。指揮者が楽器奏者に「もう少し静かに、やわらかく」と指示を出しますよね。そういうことを音声でコンピュータに指示できないかと、取り組んだのです。「雄大に」と声で指示を出すと、シンセサイザーがそれを認識して、雄大に音を出すセッティングにするという研究です。それから声質の研究にも取り組んでいます。この研究では、いろいろなレベルメーターによって、声に張りがあるとか響く声だといったことを判定するものを開発しました。この研究の応用で、演劇部員だった昨年の卒研生が、演技音声の良し悪しを測定するものをつくったりもしています。


「演技音声評価システム」複数項目で評価値がグラフで表示され、総合評価が文章で右側に表示されます。
「演技音声評価システム」
複数項目で評価値がグラフで表示され、総合評価が文章で右側に表示されます。

■今後、研究で取り組んでみたいことなど、展望をお聞かせください。

 立体音響といって、上下左右から音が出るような、奥行きや広がりを持って再生される音があります。今までこの立体音響は、ゲームに使われることがあまりなかったので、それを使って何か面白いゲームができないかと考えています。5.1chサラウンドなどが出てきて以来、いろいろな方向から音が出てくるようになってはいますが、今ひとつ使われていません。ゲームの場合、たくさんスピーカーはあるけど、臨場感を出すだけで、音がどこから出ているかということを使ったゲームはそうないんですね。現状、学生がどのくらい音で場所の同定ができるかという研究に取り組んだので、今後はそれをさらに進めて、何か面白いゲームをつくる研究に結びつけたいと考えています。

■最後に高校生・受験生へメッセージをお願いします。

 メディア学部で扱うメディアの範囲は広いので、たとえば漠然とゲームを学びたいと思って入学してきたとしても、広く関連分野を学んでいくうちに、自分はゲームのストーリーをつくりたいのか、ゲームのキャラクターをつくりたいのか、あるいはゲームの背景で流れる音楽に興味があるのかといった自分の興味を明確にすることができます。これがメディア学部のひとつの特長なんです。ですから、メディアに興味があるという方は、とにかく本学部に入ってみてください。そして、たくさんあるメディアの分野の中から、自分の好きなもの、追究したいものを探してみてください。メディアというものを幅広く学べるのは、やはり日本で最初にメディア専門の学部として誕生した東京工科大学のメディア学部だけです。ぜひ本学で自分の興味あるメディアを見つけて、それを自身の将来につなげてください。メディア学部なら、それが必ず叶うはずです。

・次回は6月13日に配信予定です。