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工業デザイン専攻を含む2コース4専攻の新カリキュラムで、幅広いデザインの学びがより明確になります!

2014年3月14日掲出


デザイン学部 竹本 正壽 教授

デザイン学部 竹本 正壽 教授

 この3月に、第一期生が卒業するデザイン学部。ひとつの節目を迎えた同学部では、2015年度募集より新しいカリキュラム体制となり、次なるステージに歩みを進めます。今回は、同学部の広報委員長である竹本先生に、新カリキュラムの特徴について伺いました。

過去の掲載はこちらから→ http://www.teu.ac.jp/topics/2012.html?id=42

■デザイン学部のカリキュラムが新しくなるとのことですが、具体的にどのような点が変わるのでしょうか?

 デザイン学部は開設されて4年になりました。完成年度を迎えるにあたって、カリキュラム改善に向けて学部長を座長とした学部カリキュラム委員会で十分時間をかけて検討してきました。一つはコース選択の単純化と専門専攻の明確化があります。これまでデザイン学部は、視覚・映像・空間という3つのコースでしたが、平成27年度(2015年度)から始まる新カリキュラムでは、「視覚デザインコース」と「工業デザインコース」の2コースから1つを選ぶことになります。コース選択については、入学後に自由に選択するシステムは変わりません。

 具体的なコース内容ですが、「視覚デザインコース」は、視覚表現を創り出す力の養成を目標に、視覚デザイン専攻と映像デザイン専攻の2つを設けます。その内、視覚デザイン専攻では、グラフィックを中心とした広告、エディトリアル、イラストレーション、アニメーションなどの表現手法と技術を学んでいきます。一方、映像デザイン専攻では、CMやプロモーションビデオ(PV)、コンピュータグラフィックス(CG)といったデザイン領域の映像を専門的に学んでいきます。映像と聞くと、映画などのエンターテインメント系やテレビ番組の映像などをイメージする人も多いかと思いますが、本学部における映像デザインとは、あくまでもデザイン領域における映像です。つまりCMやPV、あるいは最近、増えつつあるデジタルサイネージで流す映像などを対象としています。これら2つの専攻を、3年生前期に両方学んでもらいます。その理由は、学生の可能性を限定し過ぎないためでもありますが、静止画・動画の両分野を押さえておくことが将来、役立つと考えているからでもあります。たとえば企業では、ポスター広告と同時にウェブで動画広告を打つ場合があるわけです。その際、静止画も動画も統一されたイメージでデザインされていないと、企業のブランドイメージや広告戦略は、まとまったものになりません。そういう意味でも、静止画・動画の両方の知識・技術を学びつつ、3年生後期でどちらかひとつを選び、さらに専門性を高めていくということが大切だと考えています。

デザイン学部6つの力

 「工業デザインコース」は、人々の営みについて総合的にプランニングする力の養成を目標に、空間デザイン専攻と工業デザイン専攻を設けています。空間デザイン専攻では、インテリア・ディスプレイ・空間の演出など環境にあった空間の提案ができる力と発想力を育てます。工業デザイン専攻では、家具・雑貨・機器など人の暮らしを中心とした工業製品をベースにプロダクトデザインを学び、人とモノの新しいありかたを提案できる力を養います。「工業デザインコース」でも、これらの2つの専攻を、3年生前期に両方学んでもらいます。つまり、環境を含めて人が住まう空間デザインを考えていくと同時に、その空間の中にどのようなものがあればよいのかというモノのデザインについて学ぶことができます。「住まうこと」と「暮すこと」、その中で必要とされるデザインの両方を学んだうえで、3年生後期にどちらか一つの専攻を選択し、より専門性を高めてもらうことになります。

 デザイン学部は、全学生に学部カリキュラムを通して卒業するまでに「6つの力」が身につくようにしてあります。

授業イメージ(1)

■デザイン学部の学びの特徴である感性演習やスキル演習において変更点はありますか?

 1、2年生対象の感性演習は、造形の基礎となる「描く」「つくる」とともに、デザインの基礎となる「伝える」「関係づける」の4テーマを柱に学ぶことで、学生の感性を引き出していくという内容ですが、これは従来と変わりません。ただ、引きだした感性をデザインに展開させるための技術を養う、2、3年生対象のスキル演習については、多少変わります。今までのように、グラフィック・映像・空間・3Dシミュレーションなどのデザイン分野で必要となるデジタル技術を学んでいくことに変わりはないのですが、これまで両輪というイメージであった感性演習とスキル演習を、今後は融合させた1本の基礎教育の柱と捉えるイメージになります。つまり、感性演習で学んだことをスキル演習でも活かせる形にし、感性演習とスキル演習の繋がりをより明確に感じられるような、相互関係のあるカリキュラムにする予定なのです。それに伴い、スキル演習の科目も新しくしていきます。

■新しいカリキュラム体制が敷かれる至った背景について、お聞かせください。

 ひとつは、第一期生卒業という節目を迎え、カリキュラムを見直すことで、今まで以上にデザインを深く、広く学べるよう教育の精度を高めていこうという意図があります。また、これまで「空間と演出コース」の中で扱っていた工業デザイン分野を、新カリキュラムでは「工業デザインコース」のなかの工業デザイン専攻として前面に打ち出していきます。これは”工科大学”としての工業デザインスキルを強化してプランニングを学びたいという学生の要望に応えていくということです。

授業イメージ(2)

■先生のご専門はCMなどの映像系ですが、ご担当される分野の授業で何か変化はあるのでしょうか?

 はい、より明確にしたいと思っている部分があります。それは、デザイン学部におけるアニメーションの位置づけです。今までアニメーションは「映像と構成コース」内で扱っていたのですが、今後は先ほど話したように「視覚デザインコース」の視覚デザイン専攻で扱うようにします。そうすることで、デザイン学部で扱うアニメーションは、いわゆるマンガ・アニメーションではなく、情報伝達のためのアニメーションであるということを、学生たちに明示したいと思っています。情報伝達のためのアニメーションというのは、たとえば最近、インターネットコンテンツで盛んに使われ始めている“インフォモーション”という表現ジャンルが当てはまります。もともとデザイン分野には、標識やピクトグラムなど、情報や知識、データをビジュアル化して人にわかりやすく伝達する“インフォグラフィック”というものがありました。そのインフォグラフィックの動くバージョンが“インフォモーション”です。海外でのインフォモーションの使い方を見てみると、たとえば企業の活動報告書であるアニュアルレポートをアニメーション化し、図やグラフを動かしたり、ナレーションや音楽を流したりすることで、人にわかりやすく伝えるということが、すでに始まっています。データのビジュアル化だけではなく、モノの作り方などの知識を適切なイラストレーションを使って紹介するアニメーションもデジタルコンテンツとしてますます必要になってくると思います。

■最後にデザイン学部が育成を目指す人材像についてお聞かせください。

 デザイン学部における根本的な創設意義や目標は、これまでと変わりません。デザインを学ぶことで、専門性の高いデザインスキルに加え、チーム力・発想力・取材力・実現力・提案力・集中力の6つの力を養うことができ、それらの力は、デザイン専門職はもちろん、それ以外でも広く社会の中で活かせるという教育理念は変わらないのです。結局、社会に出て働くうえで必要とされる能力は、専門的な知識だけではありません。いわゆるものの考え方や、これまでとは違った視点での発想、チームで協力してひとつのものをつくりあげるといったコミュニケーション能力が欠かせないわけです。そうした力を自然と養うことができるのがデザイン教育だと、私たちは考えています。つまり、デザインの課題に取り組む過程には、専門スキルと先の6つの力が養われる要素すべてが含まれているわけです。

 デザイン学部と聞くと、デザイナーなどの専門職を養成するところとイメージされがちですが、本学部はそれだけにとどまりません。たとえば今年、ある企業から内定をもらった学生の話によると、その企業はデザインにあまり関心がなく、現状、デザインを必要とするものの制作は社外に依頼している状態だけど、その学生が入社することでデザインのセクションを社内につくることも可能だという話を面接でされたそうです。このように一見、デザイン専門職とは縁の遠い企業でも、デザイン教育で養われた力を求めているところは少なくないと思います。

 また、今はどこの企業も商品開発に対して、ものすごく吟味し考える時代になっています。昔のようにブームに便乗した商品企画で、ものをどんどんつくるという時代はなく、本当に必要とされているものは何かということを追求し、デザインの本質と向き合う時代になってきているように思います。そういう世の中の流れの中で、培ったデザインの力を幅広く活かせる人になるよう、学生を育てていきたいと思っています。