カードゲーム「2030 SDGs」体験授業レポート

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2018年5月、メディア学部では、
国連が掲げる「持続可能な開発目標=SDGs(エス・ディー・ジーズ)」の
達成までのプロセスを体験できるカードゲーム
「2030 SDGs」を教材とする初めての特別授業を行いました。
その様子を参加者のインタビューを交えてご紹介します。

「2030 SDGs」体験授業とは

この授業は、2015年に国連で採択された"持続可能な開発のためのグローバル目標"である「SDGs(Sustainable Development Goals)」の達成をめざすカードゲーム「2030 SDGs」を教材に用いる、体験型の特別授業です。
ゲームの公認ファシリテーターの進行のもとで実際にプレイして、「SDGs」についての理解を深めるとともに、ゲームを通じて得られるさまざまな「気づき」を、自らの研究テーマにつなげていくことを目的としています。
2018年5月23日に片柳研究所棟内の「アクティブラーニングセンター」にて実施された本授業には、「ソーシャルコンテンツデザイン」などに関連する卒業研究に取り組むメディア学部生約20人が参加しました。
このゲームは既に多くの企業で社員教育や研修用に採り入れられていますが、教育の現場での活用例はまだ少なく、今回の本学の特別授業への導入は先駆的な事例のひとつとなります。

カードゲーム「2030 SDGs」とは

「2030 SDGs」は、「一般社団法人イマココラボ」と「株式会社プロジェクトデザイン」が共同で開発した教育・研修用カードゲームで、2015年に国連サミットで採択された、多岐に渡る地球規模の課題である「SDGs」を達成するまでの道のりを、楽しみながら疑似体験することができます。
数名ずつで構成される各チームは、与えられたお金と時間を使って、それぞれが最終的なゴールをめざして、さまざまなプロジェクトに取り組みます。ゴールの種類には、例えば「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」などが、また、プロジェクトとしては、例えば「交通インフラの整備」「社会福祉を実現する」などがあり、中には「子どもを労働力として使う」といった取り組みも含まれています。
ゲーム参加者全員が創り出す場は『世界』を表しており、ゲームの進行とともに多くのプロジェクトが実施されることにより、世界の「経済」「環境」「社会」の状況は、刻一刻と変化していきます。

SDGsについて

2015年9月の国連サミットで採択された「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示された具体的行動指針で、17の分野別目標と169の達成基準が盛り込まれています。17の目標は、「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「住み続けられるまちづくりを」など、人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップに関わる幅広い項目からなります。日本では、政府がSDGsの推進本部を設置し、産業界でもさまざまな企業が経営にSDGsを導入しています。また、大学や研究機関におけるSDGs関連の取り組みも年々活発化しています。

担当教員インタビュー

メディア学部 飯沼 瑞穂 准教授

専門分野
教育工学、国際教育開発、ソーシャル・デザイン

私は卒業研究プロジェクトの一環として、社会的な問題の解決にメディア技術を生かす研究の指導を担当しています。こうした研究を進めていくうえで、まず重要なことは、取り組む価値のある課題の発見とその背景の理解にあります。この二つの部分で、カードゲームを用いる今回の特別授業は、大きな役割を果たせるのではないかと期待しています。本学部では、3年次の授業である「ソーシャルアントレプレナーシップ」や「グローバルメディア論」の中で、SDGsの概要などを教えていますが、講義とはひと味違うゲームという形で体験することで、学生の理解も一層深まるのではないでしょうか。

ファシリテーター(進行担当者)の声

東京電力ホールディングス株式会社
ビジネスソリューション・カンパニー ソリューション推進室

佐藤 彰 氏

SDGsは今、産官学のすべてが関わってくる社会の大きな潮流です。このゲームを皆さんがプレイすることで、SDGsに対する意識が高まり、今後ニュースなどでこのワードを見聞きする際の態度や距離感も確実に変わっていくことでしょう。そしてこのことは、今後社会で活躍していくうえで、重要な意味を持つはずです。これまで私はファシリテーターとして主にビジネスパーソンを対象とするゲームの実施に携わってきましたが、今回、大学の授業という形で関わり、若い学生の皆さんが社会人の人たちよりも、よく考えて自分の行動を決めていることが印象に残りました。また、自分の損得よりも、助け合いの精神を大切にして動く傾向があることを知るなど、私自身にも多くの気づきをもたらしてくれました。貴重な体験の機会をシェアさせてくれた学生の皆さんに感謝したいですね。

リコージャパン株式会社
ICT事業本部 商品企画本部

山口 明弘 氏

SDGs教育の導入推進を担当されている千代倉弘明教授が、私の学生時代の恩師であったことも契機となり、今回、同じファシリテーターとして実績ある佐藤彰氏とともに、東京工科大学で特別授業を開催させていただきました。私自身、社会人になって20年経ってからこのゲームを経験したことで、「周囲や社会のことを考えて行動することの大切さ」を改めて実感できました。この重要な気づきを、未来社会を創造する主役である若い人たちが、大学の授業の中で早いうちに経験できることは、本人にとっても社会にとっても大きなプラスだと思います。このゲームは単にSDGsについて理解を深めるだけでなく、自分がさまざまな課題に直面したり、意思決定が必要な組織に身を置いたりしたときに、何を感じて、何を考えたか。また、何ができて、何ができなかったかを知る"自己発見"のきっかけにもなります。もしチャンスがあれば、2度3度と経験してほしいと思います。

参加学生の声

ゲームを振り返ってみると、最初はとにかく、お金を儲けることばかりを考えて世界を動かしていました。しかし課題をある程度クリアした後は、余裕が出て視野が広がり、社会を良くする方向に力を注ぎました。目標に集中していると世界の状況が偏ってしまったので、全体を見て行動することの重要性を感じました。同時に、お金は大事だけれど、真に豊かな生活を実現するためには、社会と環境への配慮が欠かせないことを痛感しました。

私たちのチームの目標である『悠々自適』を達成するためには、多くの時間を確保しなければなりませんでした。しかしプロジェクトの中身を見ると、『子どもを労働力として利用する』というような取り組みが時間を得るのに有効だったりして、いろいろ考えさせられました。自分だけが利益を得ようとすると、世界からは受け入れられません。世界全体の利益を考えた行動や助け合いの姿勢が大切であることを、今回のゲームから学べました。

ゲーム前半は自分たちに課せられた目標は達成していたのですが、後半になって世界の状況を見てみると『環境』や『社会』が良くなっていないことに気づき、自分たちが集めていた時間を手放しました。その結果、クラスで唯一、目標未達成となってしまいました。自らの目標を大切しながら他の人と助け合うことの必要性を理解するとともに、こうした周囲との協力が、偏りのない環境や社会を作るうえで重要なカギを握ることを理解できました。