360°VRで体感する「ランサムウェアの脅威」──東京工科大学とスプライングローバル社、VRで意識改革を促す新コンテンツを発表

東京工科大学(東京都八王子市、学長:香川 豊)の片柳研究所 デジタルヘルスイノベーションセンター(センター長:田仲浩平教授)は、スプライングローバル株式会社(東京都千代田区、代表取締役:藤松良夫)と共同で、医療機関におけるランサムウェア被害を360°VRで疑似体験できるインタラクティブ教材を開発しました。2025年10月に開催された「メディカルジャパン2025」にて初披露され、医療従事者が“被害者の視点”からセキュリティ対策を考える新しい教育手法として高い関心を集めました。
田仲浩平教授(左)、スプライングローバル株式会社 代表取締役:藤松良夫(右)
本プロジェクトでは、東京工科大学が監修・研究面での指導を行い、スプライングローバルが360度動画の撮影およびVR・インタラクティブ動画の制作を担当。さらに、hihaho社(ヒハホ)※がインタラクティブ動画プラットフォームを提供し、三者の専門性を融合させた共同開発体制によって実現しました。
※hihahoはスプライングローバル株式会社が日本国内で販売提供するオランダ発のインタラクティブ動画プラットフォームで、視聴者が映像内で選択・回答などを行えるのが特徴です。教育・研修・医療・製造など多分野で活用されています。
テーマは「ランサムウェアによるサイバー攻撃」。診察室や受付、バックオフィスを再現した仮想空間の中で、システムが次第に侵害されていく様子をリアルに体験できる内容です。 VRゴーグルの他、PCのブラウザでも学習できる 360°を見回してクリニックの中を体験 動画の中で問題が出題される
来場者はVRゴーグルを装着し、不正にプリントを吐き出すプリンターやランサムウェアの脅迫文表示など、クリニックが攻撃を受けた状況を追体験しました。体験途中では、各シーンで注意すべきポイントや対策を問題として出題し、単に“見る”ではなく“理解を深める”VRとして構成しています。また、PCのブラウザでも360°コンテンツとして視聴可能なため、環境にとらわれずに体験できることもポイントとなりました。
展示ブースでは「本当に目の前で起きているように感じた」「スタッフ研修に使える」といった声が寄せられ、医療関係者だけでなくITやセキュリティの専門家からも関心を集め、出展をきっかけに複数の問い合わせが寄せられました。
10月2日には、田仲浩平教授が「医療者DXの最前線:XR・AI融合が拓く効率と安全性の両立」と題し講演を行い、医療機関がサイバー攻撃の標的となる現状や、被害事例・対応策、そしてVRを教育に活用する意義について解説されました。展示と講演が連動することで、知識と体験の双方から医療現場の意識向上を促すことができたと感じています。
360°インタラクティブ動画を始め、先進的な学習ソリューションに注目が集まった。
今回の出展を通じて、「医療×VR×セキュリティ」という新しい組み合わせへの期待と、導入・運用面での課題が明らかになりました。今後は、病院や医療機器メーカーとの共同研究を進めるとともに、全国の医療従事者向け研修コンテンツとしての展開を予定しています。また、クリニック規模に合わせた軽量版の開発や、実際の業務フローに沿ったカスタマイズ、教育・訓練用途への応用など、現場に寄り添ったソリューションを強化してまいります。
■医療保健学部WEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/medical/index.html
