中西崇文コンピュータサイエンス学部教授とタイ・Burapha Universityとの国際共同研究論文がIEEE Accessに公開― 説明可能AIを用いた感染症サーベイランスデータ分析の新手法を提案 ―

― 説明可能AIを用いた感染症サーベイランスデータ分析の新手法を提案 ―
本学コンピュータサイエンス学部の中西 崇文教授は、タイのBurapha University Faculty of InformaticsのWittama Thumcharoen氏、Watcharaphong Yookwan博士、Krisana Chinnasarn准教授、Athita Onuean博士らとの国際共同研究により、説明可能AIを用いた感染症サーベイランスデータ分析に関する研究論文 “Top-K pandemic feature selection using Approximate Inverse Model Explanation” を発表し、同論文が国際学術誌 IEEE Accessに公開されました。
本研究は、説明可能AIの一手法であるApproximate Inverse Model Explanation(AIME)を用いて、感染症流行に関係する重要な特徴量を時系列的に抽出する「Top-K Pandemic Feature Selection」フレームワークを提案するものです。
AIMEは、中西教授がこれまでに提案してきたモデル非依存型の説明可能AI手法であり、予測モデルの内部構造に依存せず、観測データから特徴量の重要度を推定できる点に特徴があります。本研究では、このAIMEを感染症サーベイランスデータに適用し、タイ・日本・韓国における複数の感染症について、時間とともに変化する重要因子を分析しました。
従来の感染症予測では、機械学習モデルにより将来の感染者数を予測することが重視されてきました。一方で、公衆衛生上の意思決定においては、感染者数の増減にどのような時系列的・地域的・季節的要因が関係しているのかを、解釈可能な形で把握することも重要です。本研究では、予測モデルを学習してからその結果を説明するのではなく、週次サーベイランスデータからGlobal Feature Importance(GFI)を推定し、時間とともに変化する重要因子を分析できる点に特徴があります。
分析では、タイ、日本、韓国の週次感染症サーベイランスデータを対象とし、デング熱、チクングニア、麻しん、COVID-19、手足口病(HFMD)の5疾患について比較を行いました。各国のデータを共通の分析枠組みに整備し、ラグ特徴量、移動平均特徴量、季節性、疾患間の比率、地域情報などを用いて、26週のローリングウィンドウにより時間変化する重要特徴量を抽出しました。
その結果、1〜4週のラグ特徴量や4〜12週の移動平均特徴量が、多くの国・疾患で重要であることが示されました。これは、直近の感染状況が近未来の流行動態を理解するうえで重要な手がかりとなることを示しています。また、国や疾患によって、季節性、都市部・地域性、疾患間の関連を示す特徴量などが異なる形で重要となることも確認されました。
さらに、AIMEにより選択されたTop-10特徴量を用いた検証では、フル特徴量を用いた場合や自己回帰モデルを用いた場合と比較して、予測性能を維持または改善できることが示されました。これにより、提案手法は、感染症サーベイランスデータをより解釈しやすく整理し、国や疾患を横断して流行要因を比較するための有効な分析枠組みとなることが期待されます。
本成果は、説明可能AIを感染症サーベイランスに応用する国際共同研究の成果であり、今後、公衆衛生分野におけるデータ分析、感染症監視、早期警戒支援への応用が期待されます。
■今後について
本学コンピュータサイエンス学部およびTransMedia Tech Labでは、説明可能AI、データサイエンス、感染症サーベイランス、AIによる公衆衛生支援に関する研究をさらに推進するとともに、Burapha Universityをはじめとする海外研究機関との国際共同研究を発展させてまいります。
■論文情報
論文名:Top-K pandemic feature selection using Approximate Inverse Model Explanation
著者:
Wittama Thumcharoen, Watcharaphong Yookwan, Takafumi Nakanishi, Krisana Chinnasarn and Athita Onuean
掲載誌:IEEE Access
DOI:10.1109/ACCESS.2026.3697395.
IEEE Xplore:https://ieeexplore.ieee.org/document/11536075
所属:Faculty of Informatics, Burapha University, Thailand
School of Computer Science, Tokyo University of Technology, Japan
■関連リンク
Burapha University Faculty of Informaticsによる紹介記事:
https://www.informatics.buu.ac.th/2020/?p=15555
TransMedia Tech Lab(中西研究室)WEB:
https://www.teu.ac.jp/info/lab/project/com/dep.html?id=203
■コンピュータサイエンス学部WEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html
