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東京工科大学応用生物学部の杉山友康教授、岡山大学、株式会社ハイテックシステムズによる共同研究チームが病理標本の「厚さ」をAIで推定する技術を開発 ―病理診断と病理AIの品質向上へ―

 
2026年10月20日掲出

 東京工科大学応用生物学部の杉山 友康教授は、岡山大学学術研究院医歯薬学域病理学(免疫病理)の藤澤真義助教、大原利章研究准教授、松川昭博教授、同学術研究院環境生命自然科学学域(工)の竹内孔一准教授、同AI・数理データサイエンスセンター 嶋吉隆夫客員教授、同学術研究院教育研究マネジメント領域の岩﨑良章教授、株式会社ハイテックシステムズ(樋口拓浩社長)との共同研究により、日常の病理診断で用いられるHE染色の顕微鏡画像から、組織切片の「厚さ」をAI(人工知能)で高精度に推定する技術を開発しました。

 病理診断では、組織を数μmの薄さに切った「切片」を染色し、顕微鏡で観察します。切片の厚さは病理標本の見え方を左右する重要な要素ですが、完成した切片の厚さを日常診療で簡便に測定することは難しく、「厚さ」を指標とした客観的な品質管理が課題となっていました。

 研究チームは、切片の厚さを高精度に実測して顕微鏡画像と照合した結果、実際の厚さが作製器具の設定値から外れる場合があることや、同じ切片の中でも場所によって厚さが異なることを明らかにしました。さらに、実測した厚さと顕微鏡画像をAIに学習させることで、通常のHE染色画像から切片の厚さを推定するAIモデルを構築しました。最も性能の高いモデルでは、未知の画像に対して実際の厚さとの平均的なずれが0.28μmという高い精度を示しました。

 本研究において杉山教授は、病理画像と切片の厚みをイメージ化した画像をAIに学習させ、病理画像から厚みを推定するAIモデルの構築を担当しました。この研究は、杉山研究室で取り組んできた「細胞・組織画像を診断する人工知能の開発」をベースとしており、本学AI研究会(2017~2020)で採択された「AI支援を応用したがんiPS細胞の薬剤探索研究」の成果を応用したものです。

 今回の成果により、これまで「見えない品質要因」だった切片の厚さを数値化し、病理標本の品質管理に活用できる可能性があります。また、施設ごとの標本作製条件の違いによる影響を受けにくい病理AIの開発や、実臨床での精度管理につながることも期待されます。 本研究成果は、病理学分野の国際学術誌「Laboratory Investigation」に2026年9月17日付でオンライン公開されました。

病理標本の「見えない厚さ」の推定と品質管理への応用

【論文情報】
論文名:Direct measurement and AI-based inference reveal histological section thickness as a variable physical property accessible from routine H&E images
掲載誌:Laboratory Investigation
著者名:Masayoshi Fujisawa, Toshiaki Ohara, Yuto Shimada, Koichi Takeuchi, Takao Shimayoshi, Tomoyasu Sugiyama, Takuhiro Higuchi, Yoshiaki Iwasaki, Akihiro Matsukawa
DOI: https://doi.org/10.1016/j.labinv.2026.106166
URL : https://www.laboratoryinvestigation.org/article/S0023-6837(26)00096-6/fulltext

【関連特許情報】
本技術に関連する発明は、2025年11月19日に日本国内で特許登録されました(特許第7777317号)。現在、海外での権利化も進められています。

【研究資金】
 本論文の研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)(23K11895)および令和4年度岡山県ポストコロナ次世代産業研究開発事業費補助金の支援を受けました。関連する発展研究は、文部科学省「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」に採択されています。

【岡山大学プレスリリース】病理標本の隠れた品質「厚さ」をAIで推定〜標本の品質を数値化し、病理診断と病理AIの品質向上へ〜
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1626.html