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サービスラーニングを通じてさまざまな活動に参加することで、地域の人たちと交流し、学び、視野を広げよう!

2022年7月8日掲出

教養学環 神子島 健 准教授

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東京工科大学には、教養学環のカリキュラムのひとつに「サービスラーニング」があります。ここ2年間はコロナ禍でその活動が大幅に制限されてきましたが、今年度は前期から学外活動が再開しています。そこで「サービスラーニング」の概要や具体的な取り組みについて神子島先生にお聞きしました。

■「サービスラーニング」とは、どのような授業ですか?

 「サービスラーニング」は、簡単に言うと教室での授業に加えて、地域でのボランティアなどの活動を体験することで、その活動の背景にある社会的課題について学ぶ授業になります。大事なことは、活動そのものが目的ではなく、活動を通して学ぶことです。ボランティア活動に参加して終わりではなく、活動に行く前には学外の人とうまくコミュニケーションを取るための練習や活動における注意点を学んだり、リサーチなどをしたりして準備をし、実際に活動し、その後は自分が行った活動はどういう社会的意義があるのかといったことを振り返ります。
 また、「サービスラーニング」は、学外の人、それも子供からお年寄りまで幅広い年齢層の人と触れ合う機会が持てることも大きなメリットです。学内では出会えないような年齢層の人とコミュニケーションをとったり、そのイベント等を企画する市役所や学校の方たちと打ち合わせをしたりするので、そこから得るものも多いと言えます。
さらに、本学の八王子キャンパスには4学部がありますが、当然、それぞれにカリキュラムがありますから、学部間で交流を持つ機会はそう多くはありません。そんな中、「サービスラーニング」は、どの学部の学生も受講できる教養の授業ですから、学部を越えて、密にコミュニケーションをとる良い機会にもなっています。

■具体的には、どのような活動に参加するのですか?

 授業としては、基礎編となる「サービスラーニングⅠ・Ⅱ」と、発展編の「サービスラーニングⅢ・Ⅳ」があります。「サービスラーニングⅠ・Ⅱ」では、八王子市役所の学園都市文化課にご協力いただき、八王子市内で活動している団体や市役所などの行政、学校等によるイベントや事業などで、ボランティアを募集しているものをリスト化してもらっています。そのリストの中から学生は自分が参加したい活動を選んで行くという形です。今年度の前期では、16名の学生が、一人3か所、計10~15時間ほど、地域の活動に参加しました。
 前期では、例えば、八王子市内にある上川口小学校での稲作体験活動があります。この小学校にある田んぼで行われた、田植え前に泥と水を混ぜて土を柔らかくする“代かき”という作業を3名の学生が手伝いました。
 また、高嶺小学校の「スポーツの日」と七国小学校の運動会のお手伝いにも行き、玉入れの玉など使用した用具を片づけたり、先生のお手伝いをしたりといったことに取り組みました。また、6月には八王子市の消防団による「消防操法大会」のお手伝いにも参加しました。

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■学生からはどのような感想がありましたか? また、受け入れ先の反応は?

 田んぼの代かきに参加した学生は、代かきの作業が思っていた以上に体力を要したという感想がある一方で、豊かな自然の中、普段できないような活動ができたことを喜んでいました。
 また、小学校の運動会を手伝った学生からは、小学校の先生、保護者、ボランティアで来ていた高校生と協力して作業を進めることができ、コミュニケーション能力を高める良い機会になったという声が届いています。さらに先生方が運動会を成功させるためにどのような準備を重ね、努力をしているかといった裏方の動きを知ることができて良かったという感想もありましたね。
 6月5日に開催された「八王子環境フェスティバル」にも10名ほどの学生が参加しています。そのうちの一人は、放置自転車をやめて駐輪所を使いましょうという案内マップを配布する役目を担っていたそうです。最初、その学生は言われた通りにマップを配布していたのですが、放置自転車をやめてもらいたいという本来の趣旨を考えると、八王子市は広いので、マップを渡す相手の住んでいる地域に合わせて、「この地域のこの場所に駐輪所があって…」と詳しく説明してからマップを渡した方が良いだろうと自分なりに考えて取り組んだそうです。そうすると、市職員の方からそのブースを丸々任せてもらえたそうで、非常にやりがいがあったと振り返っています。
 このように、学生たちはまじめに活動に取り組み、それぞれに得るものがあります。そうした姿勢は受け入れ先の方々にも大変評価されていて、学生に継続的に来てほしいとおっしゃっているところも少なくありません。

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■では、発展編である「サービスラーニングⅢ・Ⅳ」では、どのような活動が行われているのですか?

 「サービスラーニングⅢ・Ⅳ」は、2年生以上が対象で、「地域共生論」の単位を取得した学生が受講できます。「サービスラーニングⅠ・Ⅱ」が一回ごとの活動であるのに対して、「サービスラーニングⅢ・Ⅳ」は、ひとつのテーマに対して1学期間、継続的に学習・活動します。ですから、ゼミに近い形ですね。
 今、進んでいる「サービスラーニングⅣ」では、2つのプログラムが走っています。ひとつは「由井・片倉プログラム」、もうひとつが「学童プログラム」です。「由井・片倉プログラム」は、八王子市社会福祉協議会と高齢者あんしん相談センター片倉にご協力をいただいて取り組んでいます。具体的には、高齢者あんしん相談センター片倉と、由井市民センターの部屋をお借りして、高齢者向けのスマートフォン(以下、スマホ)教室を企画し、実施しています。もともと高齢者向けのスマホ相談会自体、ニーズがあることはわかっていました。ただ、高齢者がスマホ教室で何を知りたくて、どんな機能を使いたいのかということまではわかっていなかったので、八王子市社会福祉協議会の方の抱える課題意識を講義形式で学び、その内容を起点に両者で相談しながら企画を練りました。2019年度に実施した「1対多」の講座形式では、求められていることに的確に応えることが難しいという経験を基に、参加者である高齢者の方と学生がマンツーマンで教える形にしたのが、大きな特徴です。ベースとなるメニューをいくつか用意しておき、その中から参加者の知りたい操作を選んでもらって教えたり、あるいはLINEやお天気アプリの使い方を知りたいといった具体的な要望がある場合は、それをお聞きして教えたりする形で進めています。このプログラムには4名の学生が参加していて、片倉で2回、由井市民センターで3回実施する予定です。先着5名ですが毎回、予約でいっぱいのようです。
 高齢者にスマホの操作を教える場合、相手は知らないこと、わからないことが多いため、若い人が若い人に教えるときよりもコミュニケーションのハードルが高くなります。ですから学生は、高齢者が理解できるように工夫した話し方をしなければなりません。一方で、高齢者の方は家族に教えてもらう場合、何度も同じことを聞きにくいといったことがあるようですが、学生になら聞きやすいということで好評を得ています。

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 もうひとつの「学童プログラム」は、八王子市立第四小学校の学童保育でのボランティア活動です。NPO法人が運営している学童クラブで、3名の学生が片付けや子供と遊ぶといったお手伝いの活動をしています。最初の数回は授業で「学童保育とは何か?」ということを学んだり、「子供にとって放課後の良い居場所とはどういう場所か?」といったことを話し合ったりしました。また、学童クラブがどういう制度で運営されているのかということも学びつつ、活動をし、振り返るという形で進めています。活動を通して学生は、小学1年生の集団と3年生の集団とでは、子供たちの体格や体力、できることに差があるため、分けて遊ぶなど工夫が必要だと話していました。特に1年生はついこの間まで保育園児や幼稚園児だったわけですから、当然、中学年の子供たちとは遊び方が違いますからね。また、指導員の先生方のコミュニケーション能力の高さにも驚いていました。子供の視点を理解していて、きちんと子供と同じ目線で対話し、子供が求めているものを提供する。そういう専門的な経験や技術の蓄積によって学童クラブが成り立っていることを目の当たりにしているようです。

■今後の展望をお聞かせください。

 新型コロナウイルス感染症が流行する前は、八王子市内でボランティアを募集しているイベントがたくさんあったのですが、コロナ禍でボランティアの受け入れが中止となり、ようやく今年度、始動したところです。現状、コロナ禍が落ち着き始めた段階で、まだイベント数やボランティア募集数は限定されている状況ですが、後期のリストは前期よりも募集数が増える見込みです。ですから、今後、参加する学生の人数がもう少し増えれば良いなと思っています。参加する学生が増えると、今よりもっと深くディスカッションや交流ができるので、その分、学びも深まると思います。
 また、「サービスラーニングⅢ・Ⅳ」では、「地域共生論」の単位を取った学生が受講できるため、「地域共生論」を受講中の学生にも積極的に案内していきたいと考えています。昨年度までは、コロナ禍で実際に活動できるかどうかわからなかったため、あまり案内に力を入れることができませんでした。ですが後期からは、今まで以上に情報発信が行えると思うので、参加人数も増えてくれるだろうと期待しています。

■最後に受験生・高校生へのメッセージをお願いします。

 東京工科大学は実学主義を掲げ、社会に貢献するテクノロジーを学ぶことのできる大学です。学んだテクノロジーを社会に役立てるには、そもそも社会に役立てるための視点を養う必要があると思います。そのためには、実社会での体験を積むことがとても大切な要素になってくるのです。本学の「サービスラーニング」は、キャンパス内だけでは学べない、実社会での活動を通じて学ぶ機会として用意されています。大学生活は何かと忙しいとは思いますが、カリキュラムの中で地域社会へと出ていき、さまざまな体験をする機会が持てるわけですから、学生にはこの授業をうまく活用して、自身の視野を広げてほしいです。
 また、「サービスラーニング」で得た社会経験と大学で学んだ専門分野の知識を組み合わせて、「こんな社会課題の解決に活かせるのではないか?」というところにまで結び付けられると本当に素晴らしいと思います。とはいえ、それは最終目標ですから、まずは社会経験を積んでみたい、学外でボランティア体験をしてみたい、大学以外の人と接する場がほしいと思っている方は、本学に入学したら、ぜひ「サービスラーニング」の授業を受けてみてください。