メディア学部

School of Media Science 八王子

REC.006 chapter.2「ディテールに魂が宿る」

2014年11月18日開催

season 3


REC.006 chapter.2
ディテールに魂が宿る

―ゲスト講師の皆さんに、仕事において一番大切にしていることを伺っています。夏目先生は、いかがですか?

夏目:突き詰めると「情熱」だと思います。特にこういうアニメやモノを作る仕事においては、義務的に、決められた時間で決められた分量だけやればいいというものではありません。どうすれば心に残る、突き刺さる作品になるかが最も大切で、ディテールに魂が宿ることもあるわけですよね。

―「ディテールに魂が宿る」とは、どういうことでしょうか?

夏目:キャラクターの魅力的な描かれ方もありますが、例えばちょっとしたシーンの一つ一つの背景が丁寧に描き込んであることで、作品のグレードが上がります。もっとわかりやすく言うと、例えば演出で主人公の涙の流し方を、ただタラっと流すのではなく、ウルウルっと浮かんで、ポロっと落ちる、みたいにする場合、5枚のカットを10枚に増やさないとそういった表現ができません。でも、これはすごく大事なシーンだからそこまでやろうよ、と言うのは義務感じゃなくて情熱なんですよね。やっぱり情熱のないところに、人の心を打つ仕事は成立しないと思います。

―夏目さんは現在どのようなポストでお仕事をなさっているのでしょうか?

夏目:今年の2月に社長ポストを後進に譲り、現在は代表取締役として業界のクールジャパン的な展開にも関わり、会社では組織が上手くまわるように、澱まないようにすることに時間を割いています。やはり組織では、不公平感のような問題に目を瞑る、例えば人の評価に対して、著しいえこひいきがあったりすると、他の人間がバランスを崩しますよね。
組織は大半が人間関係ですから、組織全体に信賞必罰があり、全員がフェアに評価されて、どこかで弱っている人間がいれば救い上げる、どこかで傲慢になっている人間がいれば注意する事に気を配っていないと、組織が腐ってしまいます。全部を見られるわけではないですが、耳にしたり目にしたりすることを、すぐその部門の長に直接会って、こういう話を聞いているけど目配りが足りないんじゃないか、と言うときもあれば、社員が直接面談を求めてくることもあるので、それにとにかく向き合って、その意見が最もだと思えばすぐに是正措置を取りますし、本人のワガママの場合は、話し合うようにしています。

―ありがとうございました。

 

chapter.2 ディテールに魂が宿る

夏目公一朗さん

REC.006 夏目公一朗さん
(株)アニプレックス代表取締役
(株)A−1Pictures取締役
一般社団法人日本映像ソフト協会理事
一般社団法人日本動画協会運営委員

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